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ギターの音を分析する その2 揺れ

個人の好みを超えてギターの音を判断する要素  




1 倍音が入っているか

2 揺れが入っているか

3 音量

4 バランス

5 ハーモニーの美しさ

6 遠達性

7 レスポンス

8 特別な個性


ギター講師時代から今までギターの調整やピックアップ取り付け、さらに自分でも新しいものから中古から手工からビンテージまで買っていたので、その時期にトータルでは1000本くらいのギターに触ったと思います。



自宅のいつもの環境でいろんなギターに触れるのは結構重要な事です。

初めて行った楽器店などアウェイの環境でギターの音を判断するのは経験値が必要で難しいですね。

また5-10分弾くのともっと長い時間そのギターに付き合うとのでは、そのギターの理解度が変わって来ます。その1000本の自宅試奏の中で最後まで手元に残った2本があります。なぜその2本に惹かれるのか? 残すと決めた時にはハッキリ理解してなかったのですが,今なら解ります。


その2本には「揺れ」があったのです。


ここ数年で理解が深まったのは「揺れ」という要素です。倍音はリバーブのようで、「揺れ」はコーラスのようです。


エフェクターを使う方はわかると思うのですが、コーラスというエフェクターで揺れ幅をゆっくりにすると「うねり」のような音になります。これが音の厚みを作り出します。アコギにコーラスとリバーブをかけたくなる理由はここにあると思います。


もともとのギターの音にこの「揺れ、揺らぎ、うねり」があまり入っていない場合、後からエフェクトでプラスしたくなります。でも,電気的なエフェクトは,やはりエレアコ的な感じがして、次第に使わなくなります。


生音で揺れつまりコーラス感があり,さらにリバーブ感つまり倍音があれば良いギターの音に聞こえるわけです。

この「揺れ、揺らぎ」を生音で持つギターは多くないのですが、あります。


ジャラーンとコードを弾いて最後の響きがチューニングのずれではなくて、ワーウワーウという感じで「うねる」かどうか聞いてみてください。

この「揺らぎ」を感じると人間の脳は心地良いと判断します。


OTSオーバートーン・システムで倍音をプラスすると揺らぎも発生しやすくなります。つまり生音でリバーブとコーラスを持っているような感じです。

揺らぎがない生音は直線的な感じがします。


揺れの音をイメージしにくい場合は逆の音を考えてみると良いと思います。安いお値段のエレアコの生音です。箱の響きはほとんどなく、揺れもなく、直線的で弦がフレットに当たるジャリジャリした音が強く感じられます。


これはまさに揺れがない音だと言えます。つまり揺れと箱鳴りは大きな関係があります。

倍音が入っていない,つまり2倍音4倍音を発生しないギターでもこの「揺れ、揺らぎ」があるだけで他とは違った良い音のギターに聞こえます。



ギターがビンテージ化して来るとこの揺れが発生しやすくなります。1930年台のコンディションが良いL-00で試してみるとこの揺れがハッキリとわかると思います。L-00というギターの設計は揺れを発生しやすいように思います。



Ayersギターを通じてこれまで500本ほどのギターを作りチェックした結果、ギターの作りが全く同じでも素材をより硬いものに変更すると音のレスポンスが変わるだけでなく、揺れが発生しやすくなると思います。


例えばトップにベイクド・アディロン(硬い、枯れてる)とサイドバックにココボロやベトナム・ローズ(硬い、密度が高い)などは揺れをより感じやすいと思います。



しかし、のちに通常の材料でも、ブレイシングの調整で揺れを作り出す事に成功しました。AyersのOTS加工の際にはこの揺れもプラスされているのです。


揺れコーラス感と倍音リバーブ感を同時に持つビンテージのD45などは非常に高価でも人を惹きつけるものがありますが、1979年の40年モノのD28でも揺れを知る事ができます。


D28は倍音が入っていない,つまり2倍音は出ませんが、40年経過しビンテージ化しているので「揺れ」は聞き取れます。



あなたのギターにも揺れがありますか?


揺れがあれば自分のギターがもっと好きになれるかもしれませんね。



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