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北京楽器フェアレポート

更新日:2018年10月22日

2016 5月25-28 北京楽器フェアレポート


ライブの音作りで最も大切なのは

ピックアップかそれともギター本体か?

ギター選びのアドバイスでもあります

ギター選びの判断力が一気に向上しますよ


東京ハンドクラフトギターフェスが終わってすぐに北京の楽器フェアに参加したので今回は特にアジアと日本のギターとか音楽に対する見方の違いが明確になって良かったです。

はっきりと分かった事があります。

日本人でギターが好きという人は私も含めてギターの音色が好きという人が多いと思います。

日本以外のアジアでギターが好きという人は必ずしも音色が好きではなく,それよりも音楽が好きです。

つまり,音色がよいか悪いかよりも演奏技術とかパフォーマンスに注目しているということですね。


(≧∇≦)b なるほどっ!


この違いが結果的に機材の選択,最終的に必要な音の違いを生み出します。

もしもライブの規模が大体20-30人という規模であればかなり音質を追及できますし,15インチのモニターに18インチのスーパーベースを入れる必要もないわけです。

でも2万の会場とか5万人のスタジアム,10万人の野外となるとアコギのいい音をどう作るか,よりも会場でギターの音が聞こえるかどうかが問題ですね。


中国の北京とか上海の楽器フェアはそれらとはまた違った過酷さがあります。

演奏が始まると40-50人の人が集まりますが,近くのブースでもデモ演奏をしているのです。


しかもローランドのブースがドラムの実演とかエフェクターの会社がエレキの実演を始めるとその音が3号館内にあふれます。

その状態でアコギのライブをするというわけです。音量で勝って初めてライブが成り立ちます。もちろん演奏中は会話もできません。

お向かいのブースがHOSCOさんで商談ができないと苦情を受けるほどの音量でやることになるのです。


アコギの大音量はエレキとは違って必ずフィードバック(ハウリング)の問題が生じます。

ギタリストにはここで選択肢がいくつかあります。


1 ギターは変えずエフェクトなどEQ処理で解決する。

2 ギターそのものをフィードバックの少ないバランスの良いものにする。


ライブでの音質を良くするにはピックアップとか機材のレベルを上げればいいと誤解している方が多くおられます。


実は私のオタク研究の結論で申し上げますと,ラインの音作りで最も大切なのはギター本体なのです


(; ̄Д ̄)なんじゃと?


ピックアップがスカイソニックになってから私の概念が以前と大きく変わった部分があります。それはギターの音に対する要求です。


スカイソニックのピックアップはギターの音のバランスをそのまま拡大します。


昔のインブリッジピエゾの時代は,タカミネとかオベーションのギターは「どのモデルも出てくる音は同じでしょ」という意見がありました。 今も一部のプロギタリストはギターよりもピックアップが重要と考えておられるようです。


それは残念ながら大きな間違いだったのです。


ピックアップがスカイソニックPRO1ならばギターの差が音になってハッキリとわかるのです。


このビデオをご覧くださいませ。

どこに注目するかといいますと,ギターのハーモニーつまりコード感です。

Gコードを弾いた時にGの音が出ていますか。 それともただ6本の弦が溶け合わずにそれぞれ鳴っているだけですか。

この2種類の音を聞いてその大きな違いを感じられますか。 最初のはギブソンで後半のは日本製です。



この2つの音源を聞いて,どっちもいい音と感じるなら,まだギターの音を聞く点で修業が必要かもしれませんね。

ププッ ( ̄m ̄*)

この音を聞いて全く違うと感じられればいい耳をしています。

ギブソンは立体的です。ハーモニーが綺麗に溶けていきます。 まさに立体的で,3次元の世界です。

このハーモニーの上にアルペジオもソロギターも成り立ちます。

なので,ハーモニーがおかしいギターでは音がすべて平面的に2次元になってしまいます。

ぺらっとした音で低音から高音までの音が一部ぶつかりあって打ち消しあい音量が小さく感じられます。

何度かビデオを見てもいいかもしれませんね。

ビデオでどうしてもわからない場合は(音源も圧縮されていますし),店頭でチェックする方法もあります。

ヤマハのFG720 とFG820 を比較してみればいいと思います。

820の方が明らかにハーモニーの点で改善されています。

どちらも当然中国製でおそらく同じ工場のギターですが,ギターの設計が音にどれくらい影響するかを知ることができます。

このギターが本来持っている音のバランスがピックアップを通してステージ上で拡大されるのです。


この基準でギターにランキングを付けるとこうなります。

1位 アメリカンギター  マーチン,ギブソン,テイラー,コリングスなどなど    ハーモニーが美しい。各メーカー音色は違いますが,コード感が見事。

2位 カナダ,ヨーロッパギター  ラリヴィー,フォルヒ,ブリードラブなどなど    アメリカンよりは玄人向けのギター。変則チューンではカナディアンギターはアメリカンよりハーモニーは美しい。フォルヒの音は品がありますね。

3位 オーストラリアギター  やはり素材が特殊で生音の説得力が弱い,でもMatonの弾きやすさとピックアップがすごい。プロ仕様のギターと言える。

4位 日本のギター  ハーモニーが決定的に足りない。ヤマハのギターで育った人が多いからか?高級手工ギター製作者のギターも残念ながら全くアメリカンギターのハーモニーに遠く及ばない。日本人にコード感が足りないのかもしれません。(このままでは日本のギターがアジアに抜かれるという危機感からの愛のムチでもあります。(ToT)>゛スミマセン 生意気言って)

以下中国やアジアのギターがランク外で存在しています。


上位ランクは変則チューニングの際にカナダのギターが逆転で1位になります。 特殊な変則チューンはマーチン,ギブソンでは出来ません。非常に気持ちが悪い音になります。

試しにシャドウィキイのオープンCm9 6-1弦がCGE♭GB♭Dをマーチンでやってみればわかりますよ。

こうなるとラリヴィーの左右対称ブレイスが素晴らしいのです。まったく濁りがなく平均的にきれいに響くのです。

なので,私は正直一部のプロギタリストはギターを持ち替えたらもっと音楽レベルが上がるのにと思うことが結構あります。それくらい日本のギターはハーモニーがないのです。

ある専門家とこの話をした際に興味深い意見を教えてくださいました。

欧米人のハーモニーの感覚が鋭い理由はもしかして,子どもの頃から毎週末教会でゴスペルの伴奏なしコーラスを聞いて育ったからかもしれないというのです。

これはかなり当を得ている気がします。伴奏なしのコーラスはより純正律に近づくので完全に周波数が一致したハーモニーを作り出します。平均律よりももっと心地よく聞こえます。

平均律のピアノ,ギターやエレピがどうやっても作り出せない純正律のハーモニーに子どもの頃から接していたら当然その感覚は磨かれて行き,そうではなかった人とは違いが出ますよね。

アジアと欧米の大きな違いの一つはここにあるのかもしれませんね。

(≧∇≦)b なるほどっ!

また北京に戻りましょう。

この人は台湾人で台湾と中国大陸で最も有名なギタリストでルウ・ジャーホンと言いますが,多くの教材を出版しており,数々の有名な歌手のステージでギターを弾いています。そのため,実際に一般人から言わせると中国では押尾コータローより有名だというのです。

フィンガーピッキングをやっている人は押尾さんを神のように崇拝していて誰でも知っています。

でも趣味でギターを弾くというレベルでは日本でも「吉田拓郎,かぐや姫とかアリス,長淵やさだまさし」が有名なのと一緒だと思います。

彼の演奏に関して私はコメントできません。 使っている機材に関しても今時AD-5を使う理由がどこにあるのか全く分かりません。

演奏の技術や音楽性とは別の部分で有名なギターアイドルとなってしまう一つの例かもしれませんね。

知名度がありますので,人がかなり集まります。

演奏がそうでもないので,私的には不思議な世界に見えてきます。

次に行きましょう。

これが今回の谷本光のセッティングです。

Line6のワイヤレス (定番ですね。これ以外のワイヤレスはダメらしいです。さすがヤマハ)

Boss OC-3 オクターバー(写真では故障で入っていませんが,ライブの際には楽器店が持ってきてくれて入っていました。)

ルーパー,ZOOMベース用マルチエフェクター,BossRV-5リバーブ,ZOOM A3マルチエフェクターという流れです。

ZOOMのマルチが2個入ってしまっています。

(T_T) ウルウル

ここが音楽を求めるか音色を求めるかの違いになります。


どの場所でも必ずあるレベルのライブの成功を求めるとデジタルエフェクターの多用になります。

ハウリング(フィードバック)もボタン一つで解決します。一台にすべての機能が入っています。 便利極まりないのですが,私の耳にはMP3に聞こえてしまうのです。


つまり,せっかくギターとピックアップで作った3次元の良い音をエフェクターで最後2次元に戻してしまっている感じがするのです。

号(┳◇┳)泣

私がまだ音色を求めるアマチュアだからなのでしょう。 でも私がギターが好きな理由はやはり音色が好きなのだからしょうがないのです。

もう一人メルビン(マーレシアの14歳天才ギタリスト)の機材です。

PRO1をステレオアウトして右端は分配器で,上がマグマイクのラインで,下がコンタクトのラインになります。

メルビンはすべて感覚だけでやっていい音と思った方を選択します。

マグはZOOMのベース用マルチエフェクター,BOSSのEQ,SKYSONICエフェクターのリバーブとコーラス。

コンタクトはSKYSONICのディレイ~ビビッドフォーカス,SKYSONICのEQ,ZOOMのA3です。

これは誰もが通る道ですがどんどん複雑にしてしまうのです。

その後シンプルの価値に気づいて戻って来るのを期待しております。

ポイントはどちら側にもZOOMのマルチが入っていることです。

便利ですが,このおかげで音が3次元から2次元になってしまいます。

音色にこだわる私としては残念な音作りです。

実はこの機材が複雑になる原因はギターそのものにあると思うのです。

中国製ギターのコード感がおかしくて,音量だけを求めているためにハウリングが出やすいのです。

もしもギターのバランスが良くて,ピックアップはPRO1ならばどのくらいシンプルに出来るでしょうか。

もう一人台湾から招待したギタリスト 許綺娟 シウ・チイジュエンです。

Andy Mackeeの曲と自分のオリジナルを混ぜて30分のステージをきちんと作り,1日4回の演奏をしっかりこなして安定した演奏を聞かせてくれました。

この新しく完成したAyersのNewHillシリーズは私がベトナム工場まで足を運びブレイシングを調整して完成したギターでこれまでのAyersとは音が全く違います。

ボディはSJで,トップはAAのシトカスプルース,サイドバックはマホガニーという普通の組み合わせですが,出てくる音は一発聞いていい音を感じさせます。

スカイソニックのステージだけではなくAyersのステージでも演奏します。

午前午後にそれぞれ1回ずつ演奏しますので,一日4ステージです。

女性のソロギターで音が良くて叩けて,リズム感が良いとなればやはり注目を集めますね。

ではチイジュエンの機材はどうでしょうか。

(ノ°ο°)ノ  オオオオ

なんとイギリス製ヘッドウェイのプリアンプにRV-7だけなのです。 RV-7のHallを薄く使います。

EQは3バンドで,環境に合わせてMIDが少し引っ込む処ではMIDをプラス気味にしていましたがほぼフラットに近いです。初日Ayersのブースでスピーカースタンドがなく床に直置きだったので,低音がボヤボヤした変な音になってしまいます。そういう時はミキサー側のEQでブーミーな周波数をカットして,おおよそフラットにしてもらいます。


それではシウ・チイジュエン 許綺娟の演奏を見てみましょう。



いかがでしょうか。スピーカーから出てくる音にアコースティックを感じられるでしょうか。

この環境でアコースティックを感じさせるのは大変なことです。

他のブースでのデモ演奏の多くは,中国ギターにインブリッジピエゾで,EQの概念もなく大音量で長く聞いていたいというより耳に痛いという感じです。

(ToT)>゛スミマセン おやじギャグ入りました。

谷本光の演奏もすごかったです。

ちなみに左の方はスカイソニックの英語担当でペラペーラでうらやましいです。

さすがの演奏で安定感があり,どのステージでもすぐに惹きつけます。 でも音色は中国ギターとデジタルエフェクトでアコギの音色が薄くなっている気がします。

海外の演奏は飛行機代をはじめ費用がかかるのでギターの使用契約で補うという方法も一つの選択肢ではありますが,ライブの質が下がることは避けられない感じがします。

でも,ライブ回数が増えるメリットはあります。

どこにこだわるかの問題ですね。

ちなみに北京で谷本さんと一緒に行った吉野家ですが,サラダの名前が変わっています。

ロックサラダ。ドレッシングをかけて振るのがロックなのでしょう。

吉野家のコーヒーかと思わせて実はおでんが入っているというものでした。

適当な感じがいいと思えるか,もっときっちりしたいと思うかで中国が合う合わないがある気がします。

メルビンはウクレレのコンクールでも優勝します。

彼のセンスとテクニックは光るものがあります。押尾さんの曲を完璧にコピーしさらにカッコいいアレンジを加えてくるセンスは非常に将来性を感じさせます。

まだ14歳です。将来どうなるでしょうか。

昨年彼に与えた宿題の一つがオリジナルを作ってくるという事でしたが,なんと押尾コータローの新曲かと錯覚するほどカッコいい曲を作って来たのです。


曲名もまだ決まっていないといいます。


すごいでしょ。これが14歳の作るオリジナルなのか? すごいのは彼がもっといろんな曲をほぼ完ぺきにコピーできることです。

ペッテリもアンディマッキーも同じように弾けます,トミーのクラシカルガスも全く同じように弾けます。

天才の部類に入ると思います。

しかしながら私的に成功だったのは,チイジュエンとのコラボだったのです。

O(≧∇≦)O イエイ!!

アコギのライブの音作りの原点に返る事が出来たと思います。

ライブの音作りはギター選びからです。

それは高級とかそういうものではなく,本当に設計が良くギターそのものにハーモニーがあるかどうかです。

それに良いピックアップを通して出てくる音はまさにアコースティックです。

多くのEQも必要なく,フィードバックの心配もなく,どこでも安定していい音が出るギターですね。

ずーっと昔,この私のWEBのイベントコーナーにポンポコ山音楽祭に出た話があります。

この時に私は2本のギターを使いました。その一本はAyersが作ったギターでした。PAさんを始め多くの人からあの黄色のギターの方が後のギター(ライヴィーにサンライズ,シャドウコンタクト)のギターよりも音が良かったと言われました。

でも,当時の私はピックアップの違いに注目していました。

実はピックアップの違いだけではなく,ギター本体の差が影響していたのだと思います。 ようやく物事の全体が見えてきたと思えるこの頃です。

このスカイソニックチームに入ってから私の耳もすごいスピードで進歩しているように思います。

O(≧∇≦)O イエイ!!


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