D-28ネック起きのまま使えるように調整する

最終更新: 2019年3月11日


ネックが起きているD-28 このまま音が良くなるように調整して,ピックアップも付けてほしい。 これは結構大変ですが,やってみましょう!



マーチンD-28は確かにいいギターですが,やはりネックが起きているものがたくさんありますね。


(T_T) ウルウル


特にギターに関する知識がないまま知名度だけでD-28を買って,「弦は張ったままの方が木が安定する」とか「毎日弾くから問題ない」とかいろんな迷信を信じてしまい,ネックが起きてしまったD-28をたくさん見ますね。

ネックが起きるという問題は他のページでも書いていますが,ある種ギターの使用料と考えることもできます。

100年使えるギターを目指すマーチンとしては,トップが膨れて修理が出来ない致命的な影響を受けるよりは,ネックが起きる方が修理出来て良いと考えるのもそれは一つの企業の考え方ですね。


(  ̄O ̄)ホー


でも,私はネックが起きる理由として管理以外にも原因があると思います。

一つは,マーチン社の製造本数ですね。年間11万本とかになってくるとやはり完全に乾燥した狂いの少ない木材を使うことは難しいと思います。 なので,理想はギターが完成する前に木材が乾燥していることですが,完成後2,3年経って,木材が安定するまで少し収縮する可能性があるように思います。

木が縮んでその隙間でネックが起きるという考えですね。 なので,あまりに早い時期にリセットするとまた少し起きてくる可能性もあるかもしれません。


もう一つはネックセットの技術もあると思います。

やはり熟練工と言っても日本人の完璧主義な職人とはちょっと違うような気がします。

国も人口も人種も多く,多少の違いはOKみたいな社会で育ったアメリカ人が作るギターなので,日本の職人のネックセットとは少し違うような気がします。

なので,管理をかなり気にしてもネックが起きる時は仕方がないとして,使用料と考えるのがもっといいと思いますが,しかーし,現在D-28を使っていて目前にライブがあるという状況で,リセットに数カ月も出していられない場合はどうするかということですね。


ちょうど似た状況のギターが同時に2本参りましたので,この問題に挑戦してみようと思います。

ネック起きのままなんとかいい音に調整して,ピックアップも付けてしまうというわけです。


現状を見てみましょう。 まず,1F~14Fを完全まっすぐに近く調整します。


14Fで角度が変わっているのがわかりますか。


このイメージはヘッド側からみてスキージャンプになっているとだめなんです。

軽いへの字がいいですね。

これを一部のリペアマンは14F以降のフレットを抜いて指板を削って,14F付近を見かけ上フラットにして,バズらないようにして,またフレットを入れ直してOKとするかもしれません。


しかーし! これは修理ではなく私は改造だと思います。


指板を削ったらリセットの際にはもとには戻りませんので。

もちろんそういうギターにも希望があります。エボニーで三角の差し込みを作って指板の下にきれいに入れると,一見分からなくなります。


でも,今回はこのネックが起きたまま何とか調整しようというわけです。

ネックが起きると音はどう変わるのでしょうか。図を作りましたので見てみましょう。


図Aはもちろん理想的な状態ですね。ネックに少しマイナスアングルがあって,サドルに高さが出ます。 なので弦高は低くセットして,サドルは高いので鳴りは良くて,テンションも程よく,響きは最高です。


図Bはネックアングルが起きてしまった場合ですね。サドルを低くしないと弦高を低く出来ません。 こうなると1,2弦の方に力がかかりませんので,音全体が低音に寄ってしまいます。

また,トップにかかる力が変わり,音が前に出て行かないようなこもった音になることが多いです。 14Fよりも15Fが高い感じになるので,14F付近にバズりが発生し,パスパスと力ない音が出ます。


図Cは起きたものを何とかしようとするために,わざとS字ネックにするという方法です。

対処療法としては正しい気がします。サドルに少し高さが出せます。 ネックの位置もプラス側にあまり傾きません。

この問題点は5F~7F付近にバズリが生じやすいということですね。 そして,図Aのようには弦高を下げられません。

図Cのセッティングの場合は12Fが6弦で2.5ミリの1弦で2.0ミリというのが限界ですね。

でも逆に言うとこの2.5の2.0ならばネック起き気味でも14F付近もきちんと音が出ますし,一つの業界標準というか,見事にバランスが取れた数字のような気もします。


私としては図Aのギターを2.2の1.7位(個体やスケールを考慮して+-0.1)にセットして長時間弾けて気持ちいい音が出るというが理想ですね。


でも最初にすべきなのは,サドルの底面を出すことですね。


そして面取り。


前に一度中国製のギターを見ましたが,このサドル溝の直角がまったく出ていないのです。 溝の端は丸くラウンドしております。

こうなるとサドルの面取りをかなり大きくしないと底面が接触しません。

(T_T) ウルウル

サドルの底面を出す。そして,面取り。

これはギターとして最低限必要なことですね。


ナットサドルジグ


キラーン d(-_☆)了解!

それからロッド調整ですね。

起きているなら軽いS字にしますので,6弦の1Fと14Fを押さえて,7Fをたたくとカチッともツッとも言わず本当にくっついている感じにします。


新しいマーチンはかなり長いレンチでないと調整できませんので,ぜひこのMartin用ロッドをお勧めしますよ。

トラスロッドレンチ4種類

これで5F前後にバズリがないかを確認します。

テンションがある程度あれば必ずしもバズリません。


でも一部にバズリが出ても理想的な状態ではないので,妥協することも必要ですね。

(T_T) ウルウル


完璧にしたい場合はネックリセットをしましょう。


レンチでわずかなわずかなS時にしてから弦高をぴたり2.5の2.0にします。

そして,音を確認します。

必要ならナット溝も調整します。


基本,ナットとサドルの調整はセットですね。


両方やった方がいい場合が多いですね。でもナットが完璧な場合はサドルだけをいじります。 この判断が難しいのですね。


もう一本似た状態で同じ調整とピックアップ取り付け依頼のD-28 です。 14Fで角度が起きているのがわかるでしょうか。

反対側から見ても14Fで角度が変わっていますね。

さらに左肩の部分に透明のゴルペ板が貼っていますね。

ここを積極的に叩いて叩く音を演奏に取り入れるという演奏スタイルですね。

画像にはありませんが,右下の部分にもゴルペ板が貼ってあります。


こんなにたくさんピックガードのようなものを貼って音に影響がないのですか?と質問をする人がいるかもしれませんので,先にお答えしますね。

(・_☆) キラーン


あります。


音が全体に高音に寄ります。

つまり低音のもやっとした部分が引き締まる感じがあります。 鳴りが少し押さえられている感じでもあります。

これはネック起きで音色がもやっと鳴りがちな場合に少し効果があるかもしれません。



最後にナットに弦が完全に埋まっている場合はやはり音抜けが悪くなるので,ナットは削ります。

では使える音になったでしょうか。

♪ じゃらららーん

(ノ°ο°)ノ  オオオオ 


結構いけますね。

この辺がマーチンのすごさですね。


テイラーは少しでもセッティングがずれると本来の音が出ないことがあるようにおもいますが,マーチンとギブソンは本来の完璧セッティングから少しずれた状態でもいい音を感じさせる何かを持っていますね。

これは20世紀の100年間ずっと世界の2大メーカーだったすごさですね。

実際に調整されたギターの音を聞いてみましょう。

ゴルペ板が貼っているD-28のラインの音です。 録音方法はかなり過酷なスピーカーの目の前ですね。

なので,アンプももっと上手にセットして,リバーブをかければもっと自然に聞こえるということですよ。


スピーカーの直接音を録音します。

即興でパーカッションを入れた曲を考えて作りながら弾いているので時々次の進行を考えて止まりそうになりますが,愛嬌です。

(* ̄m ̄) ププッ


Martin D-28 ネックが起きているものを調整したラインの音

どうでしょうか。

依頼通りライブで使える感じの音に仕上がっているでしょうか。


ならばラガマフィンも録音してみましょう。


Martin D-28 ネックが起きているものを調整して ラガマフィンを弾く

どうでしょうか。


これも結構OKですよね。

(o⌒.⌒o) ウムウム


2.5ミリという弦高が私にとっては少し高いかなという感じですが,使えないほどではありません。

ほんのわずかな部分ですが,2.2ミリくらいに出来ればハイフレットで弦が引っ張られる感じも少なくなり,よりピッチも安定するように思います。


でも,ネックが起き気味だとどうしても音色全体が低音に寄る可能性もあります。


ゴルペ板が貼っていない方の個体ではマーチンの鳴りが良い分さらに低音が強調されているように感じます。

そうなると伴奏楽器としてはいいのですが,メロディーを弾くと少しメロディーが音に埋もれてしまう感じもあります。

そういう時は裏技もあって,MIXPROの内部設定でコンタクトの音色を少しだけ高音よりにセットして全体に少し高音に寄せる方法があります。

(ノ°ο°)ノ オオオオ


ちょっと高音よりに内部調整してみたサウンドを聞いてみましょう。


Martin D-28 ネックが起きているものを調整した音  MIXPROの内部調整で高音よりに調整

いかがでしょうか。高音に寄せてセットすると,起き気味のD-28でもライブが出来るような感じがしますよね。

(≧∇≦)b OK!


おはようございます。まさに、いい音だなぁと羨ましがっていた音が自分のギターから出て感動しましました。 ありがとうございます。 -K



ギターありがとうございました。 仕事が忙しくてあまり弾けていないのですが、音を出して感動しました。 今まではアンフ゜から音を出すのが嫌だったのですが、これからはずっとアンフ゜から音を出して弾くと思います! お願いして正解でした。ありがとうございます。-T


オーナー様も満足でうれしいです。

O(≧∇≦)O イエイ!!


もちろん写真でわかるようにモニターのスピーカーが小口径なので,低音が元から出ませんので叩く音が物足りない感じはあるかもしれませんが,30センチクラスのモニターで聞くときっとある程度低音は出るはずです。


もしもあなたのマーチンがネックが起きているのにライブが近い何とかしたいという場合は,軽いS字ネックというのも選択肢の一つですね。

もちろん理想はネックリセットですが。

今一度ご自身のギターのネックアングルもチェックしてみてくださいませ。

キラーン d(-_☆)了解!


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