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ブリッジピンによる音の違いを聞いてみましょう。

更新日:2019年3月11日


ブリッジピンでギターの音はどう変わるか? この違いを聞き分けられたらオタク認定いたしますよ。


ブリッジピンの役割とブリッジピンを選ぶ際の大切なポイントを解説してみました。 エボニーピンとプラスチックピンの違い,形状が正常なピンと曲がってしまったピンの音の違いも聞けるようにいたしました。



ブリッジピンを変えたら音が良くなった,悪くなったという話は昔からあります。

特に硬い材質のもの,特に骨系,角(つの)系,にして良くなったという意見もあります。


これらの真実はどこにあるのでしょう。

( ̄ヘ ̄;)ウーン


実はこのブリッジピンの音の違いを確かめる実験というのはなかなか難しいのです。


まずは完全に同じ形状で素材違いのピンがないのです。

タスクのピンにして良くなったと言っても,タスクと同じ形状のプラスチックピンがないのであれば,素材の差による音の違いなのか,形状による音の違いかは判断しにくいわけですね。

プラスチック素材のピンでサイズが微妙に違う物はたくさんありますね。


でも,ブリッジピンをとっかえひっかえいろいろ実験をしていくと,ある程度ピン素材による音の傾向はわかってきます。


プラスチックとエボニー,骨,金属どれもそれぞれの特徴があると思います。


しかーし,最初にピンの目的を少しおさらいいたしましょう。

( ̄- ̄ )フンフン



弦のボールエンドがブリッジ裏側のブリッジプレートに完全に接している時と,ボールエンドがピン穴に入り込んでピンと穴の間に止まっている時ではテンション感も音色も違ってくると思います。

この実験はテイラーなどでは意外に簡単で,テイラーは弦の穴が結構ギリギリサイズです。 なので,弦の終わりに赤いシルクが巻いてあるマーチンのマーキス弦を使うと,6弦が完全にボールエンドに接しなくなります。

シルクが巻いてある部分が太いので,ブリッジピンの溝と小さめのブリッジ穴ではサイズが足りずに,途中で止まってしまうのです。


そのまま弦を張ると,今度は抜けなくなり,弦交換の際にかなり焦ることもあります。

「(≧ロ≦) アイター・・・


抜けないときは,中に手を入れて中から押し出す方がいいですね。



なので,テイラーとかピン穴があまり大きくないメーカーの物はマーキスを使うと音が鈍くなる可能性がありますね。

私はフォルヒでもマーキスのシルク巻きがない方がいい音になると思っています。


なので,マーチン弦ならクラプトンチョイスがいいと思います。












もっとお気に入りは,ジョン・ピアースですね。










ダダリオEJ16と同じくらいの太さですが,素材がいいためかテンション感がとてもいいのです。

(o⌒.⌒o) ウムウム



さて,この穴サイズのマッチングの原理から言うと,ピン穴に対してあまりに細いピンを使っていて,あまりにスカスカと隙間が空いているとそこにボールエンドが入ってしまう可能性があります。

そうすると,弦のテンション感は少し下がり,箱鳴りは小さくなります。


なので,最初にピンがきちんとボールエンドをブリッジ裏側のブリッジプレートに固定されているかを確かめましょう。


では,サイズがOKだとしましょう。



次に初めて,素材の違いですね。


今回はテイラーにて実験してみましょう。


ちなみにバックはオバンコール。


私はこれはいい素材だと思います。 サペリよりも好きですね。

マホガニーとローズの中間のようなオーストラリアのクイーンズランドメイプルにも近いようなコアに近いようなイメージがあります。 ウォルナットもマホとローズの中間と言われますが,ウォルナットはローズよりな感じもして,オバンコールはマホよりな気もします。

何とも感覚の世界なので,はっきりとこうだと断言はできないのですが。


でも確かにテイラーの300番台と400番台では400番台の音がいいかなと思うことがあります。 ならば500番のマホガニーがもっと高いのでもっといいかというとはっきりそうだと言えないこともあり,ボディサイズと板の種類のコンビネーションもやはり面白いですね。話が反れました。


(^∧^) スミマセンです。


テイラーはいつもエボニーのピンを採用しています。

年数が経ってもプラスチックよりも変形しにくい良さがありますね。


これは一目でわかるギブソンのピンですね。

使っていくと左から2番目のピンのように押されてへこんで行きます。


こうなると,弦が完全にブリッジプレートに接触出来ないわけですね。しかもすべてのピンが均等にそうなるわけではないので,6弦のうちの,ある弦は箱がすごく鳴っていて,ある弦は軽くシャカシャカMP3みたいな音になることがあります。


まるで無糖なのに甘い人工甘味料の甘さのような本当の力がない音がするのです。


簡単に言うと弦鳴りが強くなるのです。普通はそういうギターでストロークするとなんか気持ちが悪いのですが,ギブソンというギターは不思議で鳴る弦と弦鳴り感が強い弦が混じってもカッコよく聞こえたりするのが何ともすごいギターなのですね。

ギブソンの音の設計には何かどこか適当な感じと非常に鋭敏で感覚的な判断が混じっている感じがして面白いのですね。


でもやっぱりきちんとすべての音がしっかり鳴るように調整すると,その音の方がもっといい音と感じますよ。

ただ,調整がある程度狂っていてもいいなと思わせるのはマーチンでは有り得ない感じがします。 マーチンは調整が狂うと本来の音はまず出ませんし,いい音ともあまり感じられずこんなもんかになってしまいます。

さすがにこうなると弦のボールエンドは穴に入ってしまうでしょうね。



質の良いエボニーだと数年経っても変形が少ないです。

これはメリットとして大きいですね。


おそらく左から2番目のピンは6弦用で最も太い弦なので穴のサイズもギリギリになり,どうしてもピンが少し犠牲になっている感じです。

なので,もしも,ナットサドルを調整して,弦の巻き方を工夫しても,6本の弦の音抜けが微妙に良くない,もしくは他の弦の音とは違うという時は6弦がブリッジプレートに接触できているかどうかを疑いますよ。


では音を聞いてみることにいたしましょう。



最初はノーマルのエボニーピンから音を聞いてみましょう。

ただ,タイトルにも書いたとおりこの違いは生で体験するとわかりやすいのですが,録音でしかもMP3で違いを聴き取れればかなり耳がいいと思います。


すでにギターの音の違いについてある程度音の記憶がある方は判断できるかなと思いますが,普通の人にはちょっとわかりにくいですよね。

この違いを聞き分けられたら,あなたはギターオタクに認定されるでしょう。


トミーはCGP,あなたはギターOTA

(* ̄m ̄) ププッ


わたくし思うに,ピンを変えるのは料理で言うと,仕上げの調味料みたいな感じですね。

料理の最終的な段階でちょっとごま油とか,ちょっと辛い味噌とかを使って,少しだけ雰囲気とか味付けが変えるわように,凹んでいるのではない場合,ピンの材質の変化ではわずかな違いになるのだと思います。

基本的なギターの音は大きく変わらないと思います。でもきちっと整うと気持ちがいい音が出ますね。






当然ながらサイズもぴたりと合っていて,出てくる音も弦の輪郭,弦を弾いた時のアタック感,低音の厚み申し分ありませんね。

大きめのボディのギターにエボニーピンできりっと音を締めるのはいい方向性ですね。

続いて,わざわざテイラーにギブソンのくたっと曲がったピンを付けてみました。

エボニーピンが付いて来るテイラーにわざわざこういうことをする人はいないと思いますが,この音を聞くと古いピンの音の傾向がわかりますよ。

各弦の鳴り方がバラ付くのですね。


そして,エボニーよりも音が軽い感じになりますね。

糖類ゼロなのに甘い缶コーヒーの甘さのような,砂糖のパンチがない軽い甘さというか,MP3の音のようというか・・・。

(解る人にしかわからない例えで (^∧^) スミマセンです。  )






やはり最初のエボニーピンに比べると音の深みが足りず,箱鳴りが足りなく感じます。 それはブリッジプレートに弦が接触できなくて,音が逃げているということだと思います。

それでは形はつぶれていないプラスチックはどうでしょう。


プラスチックで安いピンです。が,新品で変形はありませんので,しっかりとボールエンドがブリッジプレートに接触できます。

この音も聞いてみましょう。

∠( ̄∧ ̄) ラジャ!





同じプラスチック素材でも形がつぶれていなければある程度いい音が出ます。 私がこの黒のピンの名誉のために正確に表現しますと,このピンはテイラーの穴に対してほんの少しだけ細いかもしれません。


このサイズのマッチングがピン選びのかなり重要なポイントですね。

(o⌒.⌒o) ウムウム


私が感じる音の傾向は,サイズがぴったりならプラスチックのピンは甘い倍音が多くなるような気がします。

なので,小さいボディのギターでもっと箱鳴り少しでも増やしたい場合はプラスチックという選択もありかもしれません。


でも,このテイラーの場合はエボニーのピンがやはり音がいいと思います。何よりサイズがジャストフィットです。

あまりあれこれ変更しなくても最初からある程度いいものが付いていると思います。


もう一度,エボニーピンの音を聞いてみましょう。最初と同じ音源ではなく,もう一度ピンを入れて録音しなおしたものですよ。





どうでしょうか。やはり,重要なのはジャストフィットということではないかと思います。

なので,マーチンが標準でピンが少し高くなっているのはどうにも理解できない部分でもあります。 その理由を一度クロサワ楽器で聞いたことがあります。

なんとブリッジが経年でわずかに縮んで穴が少し大きくなった時のために大きめのピンが入っているというのですが,私は質問しました。


「あのー,何年後にブリッジがのエボニーが少し縮む可能性があるんですか?」

「そうですね。20年以上経てばですね。」


( ̄ヘ ̄;)ウーン  微妙。


楽器業界にはいろんな不思議や伝説があるのが魅力ですね。

でもやはりブリッジピンはジャストフィットがいいですね。



まとめ。


その1  ブリッジピンは素材よりも機能重視。サイズぴったりで曲がっていないが大切。


その2  エボニーピンは輪郭がはっきりして,音には良い感じがするが,ジャストフィットかどうかがもっと大切。


でもピンを変えても,ギターは壊れませんので,最初の実験としてはやりやすいですね。 お勧めです。






















ただ,年数が経ったギターとかビンテージのギターのオーナー様は,ギターの中に鏡を入れて,中に電球も入れて,自分のギターのブリッジプレートをよーく見てみてください。 もしも,穴そのものが変形している場合,ピンがどんなでもボールエンドがブリッジプレートに引っ掛かりません。 その場合はプレートの穴を修理する必要があります。 音が逃げているかな?と不安になった方はここもチェックしてみましょう。



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