サドルの素材によって音はどのように変わるでしょうか。
牛コツに替わる素材があるでしょうか。
もちろんしょっちゅうあるわけではないのですが,時々牛コツの密度が低いものがありますね。
骨粗鬆症(こつそそうしょう)の牛なのか?牛ももっと牛乳を飲む必要があるのか?
( ̄~ ̄;)??
一生懸命に削ってサドルを造って,最後に弦を張ったら割れた,というのはかなり悲しいですね。
(T_T) ウルウル
* 牛コツでも選べば硬いものも沢山あります。削った時の粉がすでに細かく出るタイプのものはいいと思います。
荒めのヤスリをかけると,ポロポロと欠けるようなタイプはイマイチですね。
また,昔から私はサドルの素材による音の違いを知りたかったのです。でも,形状を完全に同じにする必要があるので,なかなか時間が必要で実現しませんでした。
市販のタスクにサドルを変えると必然的に形状も変わったりします。そうなると形状から来る変化か材質による音の変化なのか判断しにくいわけですね。
理想は同じ人が同じように3個作って音を比較すればいいと思うわけです。
最低3個同じサドルを造るというのが,時間がある時しかできませんよね。
しかも,象牙とか,タスクはある程度音の傾向がわかっているので,あえてやる気にならないところがありますし。
( ̄~ ̄;)ウーン・・・
それで,中国の認識的人(レンシダレン,「知り合い」という意味ですが,このネットワークが重要な気がします。)に連絡して牛の角を取り寄せてもらいました。
普通の牛ではなく,中国の西の奥の方にシャングリラという場所があるのですが,そのあたりは高原で富士山よりも高い山に毛の長い牛がいるらしいのです。たぶん日本語ではヤクではないかと思います。
その角が届きました。
(ノ°ο°)ノ オオオオ
立派な感じがします。
角度を変えて見てみましょう。
下にある黒い方は水牛の角とたぶん羊の角だと思います。
石のように硬い感じがしますが,驚くほど軽いのです。
断面を見るとわかりますが,意外に薄いのですね。
なるほど,象牙クラスの大きさがないとこの周りの厚みがナットサドルに使えるほどの厚みが出ないのがかもしれませんね。
(  ̄- ̄)フムフム
でも先端部分はどうでしょう。
ここなら厚みもあり,硬さもありそうです。
この厚みとカーブを考えると,ここから80ミリ位のストレートサドルを取り出すのは結構計算しないとできませんね。
この位置ならイケそうですね。
まずは輪切りにして厚みを計ってみます。厚みが約6ミリありますね。
これなら,2.5ミリまで厚みを落とせば平面にできるかもしれません。
これならサドルになりそうです。
なんとなく感じとしては軽いので,青森県の海沿いで売っているイカの干したものに近いような気がしてきます。
八戸市の特産イカトックリというものに近い気もします。
素材的に言うと繊維が入っていて,軽くて硬いので天然のFPRのような感じです。
車とかバイクの外装に使いますよね。風呂桶もそうかも。
何とか切ってみました。のこぎりで普通に切ります。 我が家に大型の機械があるわけではないのでした。
切り出しました。
これは結構大変な作業ですね。
能率を考えると,ある程度のサイズにカットされた牛コツを加工する方がはるかに楽ですね。
(T_T) ウルウル
この粉の出方がすでに違いますよね。綿みたいな感じになります。 繊維があるのがFRPらしい感じです。
透明感があるのが牛コツとの違いですね。
牛コツと同じサイズで作ってみました。
透明な感じです。ヤクの角のサドルですね。
しかーし!弦を張ってみると・・・・
少し弦の形につぶれてしまいました。素材的に柔らかい気がしますね。
続いては水牛もやってみましょう。
これもサドルにしてしまいましょう。
粉の感じはどうでしょうか。
先ほどのヤクの角の透明なものとは少し違いますね。
この粉はもっと牛コツに近いですね。
密度が少し上がった感じです。
でも牛コツよりは柔らかい感じもします。
これで牛コツ,ヤクの角,羊の角と3種類揃いました。
同じ人が同じサイズに加工して,音の違いを純粋に比べてみようというわけです。
O(≧∇≦)O イエイ!!
今回の実験用になったギターはヘッドウェイのドレッドです。
ネックはまっすぐですが,サドルの出方が少ない設計のギターで,サドルの高さが低めなので,サドルを沢山作る際に楽が出来るから採用されました。
でも値段からすればかなり作りがしっかりしたギターだと思います。 世界に誇れるメイドインジャンパンだと思います。
最初にヤクの角から行きましょう。
ヤクの角の音です。
いかがでしょうか。
素材が柔らかい分,サウンドも柔らかい気がします。
そして,ちょっと中音域の音が聞こえて,リードのメロディーが良く聞こえる気がします。
音に立体感があるような気がします。割とこの音は好きですね。
でも素材に音が少し吸収されている可能性もあり得ます。
音の特に低音が吸収されて中音域が強調された感じに聞こえるのかもしれません。
でもしばらくしてから外してみるとやはり,弦の形にサドルにへこみが出来ていました。
やはりヤクの角は柔らかいのでした。せっかくサドルを作って,いい音だったとしてもすぐに変形されては困ってしまいます。
(T_T) ウルウル
次は水牛のサドルですが,サドルを取り付けた写真を撮るのを忘れてしまいました。
(ToT)>゛スミマセン
ヤクよりももっと硬さがあるのが音でもわかると思います。
このくらいの硬さになって低音もしっかりと出ることがわかります。
最後は牛コツですね。普通の牛コツです。でもある程度硬さを感じる牛コツです。
明らかに高音に素材の硬さが表れていると思います。
トータルで考えると長いギターの歴史の中で牛コツが使われているのでかなりの程度マルチに使えていい素材であることを改めて知りました。
安いし,入手しやすいし,加工が楽で,音も高音がきれい。
このくらいの硬さになって初めてサドルに音が吸収されることなく音を跳ね返せる気がします。
でも,もしも今のギターの硬すぎる音を少しだけ柔らかめに調整したいという場合は素材を変えるというのも一つの方法ですね。
牛コツの硬さの素材でサドルを作る際に重要なのは底面をフラットにすることですね。
完璧なフラットを出すのは実はプロでも難しく,多くのギターのサドルの底面は出ていないことがあります。
経験を積んでいくと,底面が出ていない音を聞き分けられるようになります。
なので,楽器店で試奏してもこれは底面を出せばもっと音の芯がはっきり出て,プレーン弦が前に出てくるなというのを予測できるようになります。
O(≧∇≦)O イエイ!!
今,このギターの音を大きく変えるサドルとナットの底面をだすジグを開発中ですので,しばらくお待ちくださいね。
これが一個あれば手持ちのギターの音が確実に良くなりますね。
もうしばらくお待ちくださいませ。
一般的に言えば,牛コツのサドルでOKというありきたりの結論に至るわけですが,ここまで来るためにかけた時間とエネルギーとお金は結構かかっているのでした。
まさに今回はオタク実験という感じでした。
あなたの好みはどのサドルでしょう。
(o⌒.⌒o) ウムウム
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