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ビンテージギターを使えるレベルでリペアする

niioka

更新日:2019年3月20日


ビンテージギターを使えるレベルにリペアする! マーチンOOO-18の1930年代です。この音のすごさは録音しきれませんでした。




ビンテージギターにしか出せない音色があります。


これはどうやっても新品では出せない音色ですね。


どう違うかと言われても言葉にするのは難しいのですが・・・


音量があり,音色に深みがあり,バランスが良くて,レスポンスがとてもいいのです。


(ノ_・、)  涙が出るほど感動します。




というのは実は一部のビンテージだけだと思います。




(^∧^) スミマセンです。


多くのビンテージギターは弾いてみると・・・


( ̄~ ̄;)?? アレレ



高いギターのはずなのに・・・と思いつつも詳しそうなお店の人から


「やはりビンテージは違いますよね。お客さん」  とか言われてしまうと

「やっぱ ビンテージですよね。」


と返答してしまうかもしれません。


でも心の中では・・・

( ̄~ ̄;)ウーン・・・ これでこんなに高いのか? 


という経験をしたことがある人は私だけではないでしょう。


また,ビンテージを買ってみたけど,思っていたほどの音ではないように感じている人もいるかもしれません。

そういう時には,「これは高かったし,ビンテージだからいいはずだ」と自分に言い聞かせたくなるかもしれません。


でも,本当にそうなのでしょうか。

(・_☆) キラーン


実はいくらビンテージで鳴りが良くてもセッティングが狂っているなら,バランスの狂った響きが大きな音で出てくる可能性もあります。


ビンテージということはすでに50年とか60年,70年と経過していますので,元の状態ではないことは推測できます。


ネックが起きてしまっていると低音と高音のバランスが崩れてしまいます。 低音よりの響きでなおかつ音が前に出て行かないような,箱の中に音がこもってしまうような感じになります。

この状態でどんなにナット,サドルを変えても限界がありますね。


この状態のビンテージをいつも弾いていて,たまにネックアングルが正常なギターを弾いたりするとビンテージよりも新しいギターの方がいいと感じる人もいるかもしれません。


実際にあるプロの演奏家の方ははっきりと「私はビンテージには興味がないんです。私が欲しい音でないから。」と言います。

(ノ°ο°)ノ  オオオオ


これもセッティングが狂っていることが大きく関係していると思われます。



ネック起きの例です。


ヘッド側から見るとまさに スキージャンプ なのです。

(* ̄m ̄) ププッ



ネック起き以外にも実際にギターは使っていくと減る部分がいくつか存在しています。


フレット,ナット,サドルは見た目にも消耗品と分かりますよね。


長期間でみるとさらに,弦を引っ掛けるブリッジプレートが彫れてしまい,補修が必要になります。


また,ペグがガタガタになることもあります。


ロングサドルはブリッジ強度が少し落ちると思いますが,そこからブリッジが割れてくる場合もあります。


ピックガードが次第に縮んで,トップが引っ張られ割れるので,ピックガードの交換もあります。


トップやバックの木目から板が割れてくる可能性があります。



これだけなら実はまだいいのです。

ビンテージにはさらにまだ難関があるのです。


(; ̄Д ̄)なんじゃと?


リペアというのは本来元の状態に戻す修理のことだと思いますが,対処療法で変形というか改造されてしまっている例もあるんです。


例えば,ネック起きしたギターの場合14F,15Fの音がバズっておかしなことになります。

それで,14F以降の指板を薄く削ってしまい見た目にまっすぐにしてしまうという大技があります。

「(≧ロ≦) アイヤー


14Fあたりのバズはなくなり,音もきちんと出ますが,音のバランスは狂ったままです。


実はこのリペアを製作家でもやったりするので注意が必要です。


私は軽く削る分には許容範囲もあるかと思いますが,指板を薄くしてしまうのはどうかと思います。


これの見分け方は17Fあたりに指板サイドのスモールドットがあれば,その位置を9Fあたりのドットと比較してみると分かりますよ。 もし指板が薄くなっていればスモールドットが指板のフレット側にかなり近づいているはずです。


ここが削られてしまっているとリセットした時に厚みが足りませんので板を足すなど細工がさらに必要になりますね。


これらのリペアの他にも塗装関連の問題,ネックのねじれの問題,何よりもトップの浮きの問題などなど。


さらには,昔のギターなので設計そのものが間違っている場合もあります。 例えば,サドルの溝位置が少し狂っている場合もあります。


ギブソンのテーパーヘッドもペグブッシュの設計的には疑問があります。


戦中のギターは金属不足でブッシュが最初から付いていないギターがあったりして,ペグの回りが渋くてチューニングが終わると手が痛くなるというのもあります。


この他にも修理中に予想外の何かが出てくる可能性があります。


そうなると修理費用は一体いくらになるのか?

「(≧ロ≦) アイター・・・


でも,ものは考えようで,リペア費用を最初から15~20万くらいかかるものとしてみておけば,後はおなかが出ていなくて,ネックの反っていない程度の良いものを選べば,あまり深く考えずに好きなビンテージを買えますよ。

最初から修理費用も購入費と割り切っていればいいんですね。

(⌒^⌒)b なるほど


でも,ここが前述のようにネックリセット以上の部分で,削られていたり,割れていたり・・と増えていくと少し予算が多めに必要ですね。

修理に20万かけたいとなるとそれなりにいいギターということになると思いますが,この辺が趣味なのでその人の価値観とのバランスですね。



少し前に修理が完了したギターの例ですが。

ビンテージの中でも最高と言われるのはやはり黄金時代の1930年代ですね。

戦前なので材料が最高で,職人のレベルも最高にあり,ギター音楽文化も成熟期にあり,その時代に金持ちのためだけにギターを作っていたというのですから最高のギターですね。


1930年代のマーチンOOO-18です。 きっとお値段は100万以上だと思います。



でも,70年も使われたギターであれば,いろんなところがおかしくなるはずです。


ネックリセット,指板修正,フレット打ち直し,ナット,サドル交換は当然ですが,他にもいくつかリペアが必要になりますね。


でも完全に直ったギターから出てくる音は最初に我が家に来た時の音とは別物です。


我が家に来る前に他のリペアショップでの作業が入っていますが,それでオーナー様は満足できなかったようです。


完成後のオーナー様からの感想の中に「OOOとして完璧」という評価をいただきました。

O(≧∇≦)O イエイ!!


音はピアノのような低音の深みがあります。

高音の音色の太さに驚きます。歌っているかのような音色です。 音量にも驚かされますよ。



いい音が出るとビンテージの傷がこれまた格別な意味を持っているように感じられますね。


このレベルでのリセットです。




日本の技術とアメリカの設計とまさに日米のコラボレーション。

アメリカのリセットでもっとギザギザなものがありますね。


実は日本人でもそういうアメリカ風のリセットをする工房も存在しますが,安いからと言ってそこへ一生ものを出すべきかどうか。 大切なギターをリペアに出すところは大切ですよ。




オープンバックのグローバーがまたいい感じですね。 新しいものは滑らかですが,響きは若干変わる可能性があります。ビンテージペグの方が一般にはいいと思います。

でもペグに関して私は滑らかさも捨てがたいので,さびて動かないなら新しいものがいいと思います。




ハードケースの貫禄がまたすごいですね。



この生音はどうやっても録音しきれないのです。 バックからもサイドからも音を放出していて弾いている空間に音を放出している感じです。

まさに3D立体音響の世界ですね。

演奏者に伝わる振動もまたすごいものです。ネックも響いていますので。


でもこれを録音してその少しのエッセンスだけでも伝わるかどうかやってみました。


でも結果はだめでした。

└(T_T;)┘



録音ではビンテージの音質のほんの一部しか入りません。 それくらい生音は違いますよ。

ずっと弾いていたくなる音です。

ピアノよりもギターの音色が勝っていると思えるギターですよ。


5Fとかさらには4Fのハーモニクスの倍音ですごさが分かるかもしれませんね。


ビンテージを使えるレベルにリペアする。

これにはお金はかかりますが,この音は最高ですね。

1930年代当時の人も体験できなかった,ある意味究極のギターですね。

(⌒^⌒)b なるほど


でも,すべての人がここまで投資できないと思われますので,その場合は手工ギターの価値が大きいですね。


その手前ではメーカー製ギターであっても,初期調整もしくは,ナットサドル+αの調整でバランスが取れた弾いていて楽しいギターにはなりますね。


ぜひいいギターはいい音で弾いて欲しいですね。

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