ネックリセットされて,調整されたマーチンD-28V

最終更新: 2019年3月20日


マーチンHD-28Vはいいギターですが,店頭でも本来の音が出ていない場合もあります。ネックリセットでどこまで良くなるでしょうか。 この音はすごいと思いますよ。



他のページでマーチンギターが元起きしやすいということを書きました。 これは本当ですね。


実際に楽器店の店頭で並んでいる段階ですでに起きているものが沢山あります。

マーチンに限らずこの業界は,新品だから大丈夫が通じないのです。

ヽ(・_・;)ノ ドッヒャー



ある教室でギターに関して全く初心者の生徒さん数名を対象に,マーチンの弾き比べをしてどれが良いかを聞いてもらいました。

OOO-28クラプトンモデルとD-28Vとどちらも新品です。 さらに,国産のヒストリーの高級機種2本も参加してもらいました。


満場一致でD-28Vがいいという結論でした。


私的にはOOO-28ECは好きなギターですが,この時の個体がややネック起きだったのです。

そして,D-28Vはネックが起きていない初期状態を保っていたのです。


それで,高音も低音もバランスよく出ていて,フィンガーで弾いてもOOO-28ECよりもD-28Vがいいという意見で皆さんが一致されたわけです。

(  ̄O ̄)ホー



本来のコンディションならOOO-28ECの方がフィンガーは有利だと思います。

でもネックが起きていて本来の音が出ていない場合は評価は大きく変わってしまいます。


これが現実ですね。


多くのマーチンが本来の音を出し切っていないのも現実かもしれません。

でも,商品として考えると店頭にある時点で本来の音が出ないとすればメーカーの作り方が悪いのではないかとさえ思えてしまいます。

もしくは,商品に対する考え方の国民性の違いか。


日本製は壊れにくいというのは確かにそうです。 壊れないのが一番として考えるからだと思います。

でも,欧米のものは必ずしも壊れないのが一番ではなく,いいものが一番です。 いいものは時々修理しても長く使ってくださいね。というわけです。


自動車も似た傾向があると思います。

( ̄- ̄ )フンフン


時々聞く意見にこういうのがあります。

「マーチン社はトップが膨らむのとネックが起きるのでは,修理が可能なネックが起きる方を選択していて,弦に引っ張られて変形する場合はネックが起きるように強度設計をしてあり,トップが膨らむ事故を防いでいる」というものです。


つまり,ネック起きは想定内ということですね。


クロサワさんがそう言うからなのか時々この意見を聞くことがあります。

多少違ったりしますが,簡単に言うとネックのジョイントはリセットしやすくしてあるという感じの意見も聞く事があります。


しかしながら,これらの意見はちょっと違う気がしています。


なぜかといいますと,すべてのマーチンが起きてくるかと言えば,カスタムショップ製は起きていないものが多くあるからなんです。

例えば,GEのシリーズとかオーセンティックなどをみると全くジョイントの丁寧さというかレベルが違うなという印象を持つことがあります。

ネックで音が逃げていないような,ボディと一体化して鳴っている感じがあります。

私が見てきた限りではレギュラーラインよりもずっとネック起きはしにくいと思っています。 マーチンもやれば出来るのです。高級機種では。



ネック起きとか変形の主な理由は。


1 ネックジョイントの技術不足  つまり,マーチンも丁寧にやれば出来るんですが,レギュラーラインのD-28Vクラスの値段では,そこまでの職人を使えないというのが現実ではないかと思っています。


2 ネック材の乾燥不十分 ネック材の乾燥が不十分で,まだこれから動く木を値段との関係で使ってしまっているのかも知れません。



しかしマーチンの最大の魅力はその音にありますね。

O(≧∇≦)O イエイ!!


弾き語りにしても音がまろやかに人間の声と一体化します。

歌と別々に存在するのではなく,ひとつの音楽になるサウンドです。


こういうギターはメーカー品では少ないように思います。


でも値段とのバランスがありますのでカスタムショップ製ではなく,レギュラーラインのギターで本来のマーチンサウンドを出す方法がないものでしょうか。

(・_☆) キラーン


ここに注目してみました。

ネック角度はアイロンでも修正は可能ですね。

それで,時々聞く意見のひとつですが,ネックリセットは音を悪くするという人がいます。

ギターをばらす大手術なんだから・・・という考えのようですが,私は最初から全くそう思いません。

ギターの音に重要なのはネックアングルだと思います。 わずかな狂いがあってもギターの音が変わってしまうというボブ・テイラーと全く同じ意見です。


リセットの技術が低い場合には危険があるということだと思います。


リセットの技術が高ければ,アイロン修正よりもネックジョイントは強固になるので音は良くなるはずだと思います。

(≧∇≦)b なるほどっ!


まずは,生徒さんが2003年ごろに入手したマーチンD-28Vです。

6年使用していますが,いつも緩めてあったののに,やはりネックが起きています。

それで,弦高が高くないのにテンションがきつくなり音は悪いというわけではないのですが,気持ちよさが少し足りません。


まずはその写真を見ていただきたかったのですが,なかなかネック起きを写真に取るのは難しくてぼけてしまいました。 でも大体こういう感じです。

以下の写真は別のD-28Vですが,大体同じようになります。



こうなると,弾きにくいんです。 弦高を下げてもテンションが上がります。


音が鈍いんです。 反応が悪くて,音が前に出ていかずに箱の中で回っているような感じになります。


こもった感じの音になります。 高音が足りませんね。


ストロークでかき鳴らして箱鳴りがあればいいという場合は大丈夫ですが,フィンガーでも音色を楽しみたいならこのコンディションでは難しいと思います。


というよりも,本来のマーチンはもっといい音ですよ。



ギターオタクとしては,ここをぜひ知ってもらいたいところです。 コンディションの影響で本来のマーチンサウンドを知らない人も沢山いるように思います。

そのままのコンディションでマーチンサウンドを判断してしまっていることもかなりあると思いますよ。

(ノ^_^) ハイ!


ネックリセットの見積もりを取ると,お店によってかなり違います。

高いところは12万以上します。普通でも8~9万円。

安くても,6~7万くらいでしょうか。

というかネックリセットをすると,ナットサドルは交換になることがほとんどです。


場合によってはフレットを抜いて指板修正,フレット打ち直しなどが入るとさらに4~6万くらいかかります。

そして,ネックリセットの仕上がりのレベルはまちまちです。 仕上げに関しての感覚の違いもあるかもしれません。


これらの金額が高いのかどうかですが,どういう作業をするのかある程度理解を深めてみましょう。


frets.com のネックリセットの紹介

frets.com


こういうすごいサイトが昔からあるのです。世界は広いのです。

w(°o°)w おおっ!!



これだけの作業内容になると上記の金額も高いわけではないと思いますよ。

この上記のサイトの写真などを見ると仕上がりは日本人の感性とは違っている気もします。 USでも日本人のあるリペアマンがリセットしたということで紹介されるオークションページが結構あります。

仕上がりは日本人の感性が重要かもしれませんね。 私は音が良ければいい方なので,外観はあまり気にしませんがギターを大切にする人の中には気にする人もいるかもしれません。


信頼できるネックリセットを行うところに外注して,最終的に私が少しだけ調整したマーチンをご覧ください。


普通のHD-28Vです。


すごいのはここです。

リセットされているかどうかは言われても分からないかもしれません。

この仕上がりは見事ですね。



少し離れればまず分かりません。 メーカーによっては最初からもっとぴったりでないものもありますから。



反対側はもっと分かりません。





ナットはコリアンから牛コツへ。サドルはミカルタから牛コツへ。 それぞれ交換されています。

そして,ブリッジピンもマーチンは新品時点では完全に入っていませんが,穴のフィットを調整してジャストフィットで調整されています。



ではいよいよネックの起きはどうなったか見てみましょう。

♪ ジャジャジャジャーン(運命の感じで)



(ノ°ο°)ノ オオオオ   エクセレンス,ブウツォ,素晴らしいです。


緩いへの字型で,近年のマーチンの初期状態に近いと思います。



でも,肝心の音はどうなったでしょうか。


これがすごーいのです。


ジョイント部分でのロスがない密度の濃い音がします。

やはり,このネックジョイントを日本の技術で仕上げるというのは本来のマーチンサウンドを知るために必要なのではと思わせるくらいいい音です。


何がすごいかといいますと。

まずはレスポンス。ずうーんと低音が深く響きます。

そして,残響がずーっと残ります。 ギターが本来持っているリバーブ感が素晴らしいのです。

何よりもテンションが軽いのです。 小さい力で大きな音が出ます。


弦高はかなり低めですが,音量はかなりあります。

この弾きやすさと演奏性の両立はかなり高次元ですね。

\(◎∠◎)/オウ~ビックリデース



こうなるとやさしいアルペジオで弾きたくなります。

何か倍音に包まれる感じになります。 ストロークをしても歌と一体化するサウンドです。

これは,プロが仕えるレベルのギターだと思います。


今回は録音にiPodを使うレコーダーのProTrackを使用します。



録音する時はマイクの風除けスポンジは外しますよ。


D-28V ネックリセット後の音

いかがでしょうか。


この弦の輪郭がはっきりと出るところがポイントですね。

そして,甘い箱鳴りがまとわり付くように鳴るのです。


後半の弱いタッチのアルペジオで,箱が鳴るのが分かるでしょうか。

まるでビンテージギターを弾くかのような気持ちです。


録音した音は力強く聞こえるかもしれませんが,実際はかなり軽く弾いています。

この弱音のレスポンスがいいのが,ネックが正常で調整がうまく行ったギターの特徴ですね。

(ノ_<。)うっうっうっ  いい音です。


これがアコギなんですね。


弦高は,12Fで6弦2.1ミリ,1弦1.5ミリの感じです。

これで夜にはうるさいくらい音量があるのです。


弦高が低めなので,季節の湿度の違いで逆反りになる場合にロッド調整が必要になります。

弦高が低いギターの場合は5月頃から湿度が上がってきたら,ロッドを締めて,冬に入ってきたら乾燥が続くので,ロッドは緩めたりします。


これは85年以降のアジャストロッドのマーチンしか出来ない技ですね。


このマーチンD-28Vは2003年ごろのモデルなので,ヘッドの耳がカットされていない本当のワンピースです。

2005年ごろからマーチンもヘッドの耳を付け足す板の取り方になりました。


ヘッドは裏から見ても完全なワンピースですね。


この音を実現する方法ですが・・・

1 ネックの材料がある程度安定する年数が経過しているギターをリセットする。

2 日本人のより緻密な技術でネックリセットする。

3 最終的な音とテンション感の微調整をする。


これによって本来のマーチンサウンドを体験できるのではないかと思えるのです。

O(≧∇≦)O イエイ!!


5年以上とか経過していればネックもいいかもしれませんね。

1,2年のものをリセットしてまた起きてきたらいやですよね。


それで,ネックがねじれていない,フレットも指板も消耗のないギターで,5年以上が経過したマーチンを探します。

それを,外注先でリセットして,私が最後に微調整する。

8万以上かかりますので,あまりに安いギターには出来ないと思いますが,価値があるギターにはこのスタイルもオススメですね。


実はこのギターはニコアースも搭載のギターなのです。

ラインの音も出してみましたが・・・・

(T_T) ウルウル  感動します。


ギター本体の音がやはりラインでも出るといえますね。

ギターのバランスがおかしいとラインの音もおかしくなりますね。

リバーブなしでも使えるかなと思えるくらいイイ音ですね。いつまでも弾いていたい気持ちになりますね。


本当のマーチンサウンドはやはり素晴らしいのでした。


ぜひ,皆さんにお聞かせしたいですね。

このギターは秋田のコーヒーショップのマスターが持っているのでお店に行けばこの音が聞けたりして・・・。


ちなみにそこのコーヒーとケーキはすごく美味しいですよ。

(≧ω≦)bグッ

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