ナットやすりでテンションを調整する


プレーン弦の音量が巻き線に負けていると感じることがあります。 調整でなんとかならないでしょうか。 2種類のナットを使い分けるこの方法はどうでしょうか。 ナット交換の手順も載せました。


最近のナット調整

プレーン弦のバランスを整える方法です。

テンションの変化を感じるということですね。



2010/7/21 最近はさらに進んで,V字やすりだけですべて調整します。 どれくらい弦を溝に埋めるか。もしくは,どれくらい開放するか。

この調整量で音色が変わってきます。そのベストな量がようやくわかって来ました。 でも,以下の記事からテンションを変えられるという部分がある事をわかってくださればいいと思います。


どうしてもアコギの場合,巻き線とプレーン弦の太さの違いが音に出ます。

1~6まで同じようにナット溝を削った場合,どうしても1,2弦が弱いように感じてしまうのです。

( ̄~ ̄;)ウーン・・・

これはかなりの程度どの人の調整でも感じることです。

もしくは新しいギターを弾いた時には特に感じます。 ボディが大きくて低音が出るタイプだとさらに感じます。

音楽の3大要素は,メロディー,リズム,ハーモニーですね。

そして,ソロギターというのはメロディがー大切ですよね。

メロディーがよく聞こえない音楽というのは惹きつけられませんよね。

押尾コータローのNEWアルバムでも私はそれを感じます。

一番いいのは First Love と思ったのですがそれはメロディーがよく聞こえるからですね。

というわけで,新しいドレッドでソロギターというのは,なかなか大変なものです。 メロディーが低音に負けないようにするには何かしらの調整が必要になったりすることがあります。

そうしないと,普通はメロディーを立たせるためにかなり努力する弾き方になって楽でないこともあります。

それで,手工品ギターの世界ではドレッドのボディでもメロディーを立たせるように,トップの厚みや強度を場所によって変えるとかいろんなアイディアで工夫しているものがありますね。

また,テイラーでもGSなどは低音と高音を両立させるために考えられたデザインを感じますよね。

しかし,普通のギターでも巻き線とプレーン弦のバランスをなんとか取りたいと思うわけです。

そのためにはテンションを変化させる方法を少し考えてみましょう。

弦高を変えずにテンションだけを変える方法は結構あります。

弦のメーカーと種類を変えればテンションが変わります。

ダダリオのEJ-16はやや緩いと思います。細いので。

マーチンのフォスファーライトはそれよりも太さが 054インチなので,低音も太く出ていいと思います。

コーティング弦のエリクサーなどは硬いのでテンションが高いように感じるかもしれませんね。

さらに,弦のボールエンドを曲げてもテンションは上がりますし,ペグ側でマーチン式に弦を迎えに行って絡める方法でもテンションは上がります。

この写真のように弦を噛ませる方法はテンションを上げられます。


でも私はこの方法は使わないのです。外す時に時間がかかるからです。 それで,ペグ側は普通に巻いて,ボールエンドは弦の流れに合わせて 「コの字」 曲げにしています。


でも,テンションを上げたくないギターの場合はボールエンドも曲げません。 ブリッジピンに負担がかかりピンがつぶれますが,テンションはあげないように出来ます。

でも,そうするとますます1,2弦が巻き線に音量の点で負けることがあります。


(ノ_<。)うっうっうっ


そうなるとソロギターは苦しくなります。 爪を立ててもメロディーが物足りない感じになり,強く弾くのでニュアンスが不足するなどの問題が出てきます。

店員や製作家は 「数年弾き込めば良くなって来ますから」 と言いますが,それまではこの音に耐えるのでしょうか。


(ー'`ー;) ウーン


それもいやですよね。


調整でなんとかする方法はないものでしょうか。

そのことを長いこと私自身研究してきました。 どうしても,プロの調整でも満足できない部分がこのプレーン弦が前に出てこないというところだったのです。

最初からメロディーが立つギターを使えばいいと言えば,もちろんそうなんです。

例をあげるとギブソンのL-00タイプのものなどはメロディーが立ちます。 ブルースキングのタイプなどもそうですね。

でも,マーチンのOOOクラスでも新しいギターだと1,2弦が負けている感じがするものがあります。


じゃー,ビンテージのO-18とかを使えばいいじゃないと言えば,もちろんそうなんですが,どのギターでもある程度メロディーを立たせる調整が出来ないかというのが今回の主眼ですので。


それで,テンションをナット溝の取り方で変化させる方法を簡単におさらいしましょう。



























手工品とかビンテージの調整はタイプAが多いですね。


接触面積が最大になり,弦鳴り感をもっとも強く出すのですが,箱がそれ以上に鳴るので,逆にタイプAでないとバランスが取れないからというのもあります。

でも,タイプAはテンションも最大になります。クラシックギターと同じですが,ナット溝のヘッド側の角がテンションをさらに上げる感じです。

それで,手工品では弦高はぎりぎりにしてタイプAでテンションを稼いで,バランスを取っているギターも結構あります。


ヘッドウェイの高級機種などの調整などを見るとタイプCがあります。 いわゆる点接触です。

これもテンションが上がります。 サドルも点接触気味にすると,きりきりと高音が出ていい場合もあります。


特にギターが新しくて鳴りがまだ出ていないとか,日本のギターで弦鳴り感が強い場合はこのタイプCで箱鳴り感を出すという気持ちも分かります。

でも,あまりに点にするのは良くありません。 点接触と言っていますが,実際は1ミリくらいは接触している方がいいことが多いですね。


上の図では少しタイプCを勧めているように思われますが,現在はそういうわけではありませんので。 あくまでそのギターに合ったバランスが大切ですね。


テンションがきつい,音が硬いと感じるなら,タイプBのセッティングでテンションを落とす方がいい場合があります。


現状が日本人にとってはテンションが高いというギターが結構あります。

その場合はタイプBでテンションを緩くした方がバランスが取れることが多いように思います。 もちろん,テンションがいい感じかどうかは言葉で説明出来ないところなんですが。

しかし,6本の弦を全部タイプBでやると当然ですが,プレーン弦が巻き線に負けるという現象は残ります。


テンション感を変化させる接触面積以外のもうひとつの要素があります。

それは溝の取り方です。


下の図を見てみましょう。






ナットの溝です。

1弦の溝だけを半分くらいの接触にするように落としたとします。

すると,タイプAの時にあったナットの角がなくなるので,確実にテンションは下がります。


しかし,この状態だと本来弦の振動するポイントは溝の中間点になるはずです

それなのに,溝が壁になって振動したいのに左右の壁に阻まれているような感じになると思うのです。


この部分の壁を取り去ってあげたらもっときれいに振動するように思いますよね。


ちなみに,青森県の春先5月くらいでしょうか。八甲田山に雪の回廊というドライブコースがあります。 雪の壁が6メートル出来ている場所をドライブできるルートが登場します。


雪の回廊のムービー


左右が壁に阻まれているというイメージですね。

それをこうしたらどうでしょうか。


これはナットの角度を変えて,指板の側からヘッドを見たときの溝の角度です。






6~3弦は普通にとりますが,1,2弦をこのように壁を取り去った感じにするとどうでしょうか。

すると・・・。


♪ ピイイーーン!

(」゜ロ゜)」 ナント!!


プレーン弦の音が前に出てくるのです。

もちろんテンションがいくらか上がります。


1,2弦のナット側の弦高をあげている調整もありますが,これだと同じようにすべての弦をぎりぎりにしても,溝の形をブイ V にすればテンションを調整できるのです。


(⌒^⌒)b なるほど


それに合わせて,6弦から3弦もわずかですが,溝をVに削って全体のバランスを取ることが出来ます。

そうすると,音が前にでて普通に溝をまっすぐに取った時とは全く違った印象になりますよ。


この1,2弦だけ溝の形を変えるという方法は誰からも聞いたことがないので,たぶんオリジナルではないかと思っています。


O(≧∇≦)O イエイ!!


実際にギブソンの調整の例を見てみましょう。

ナットを外すと驚くほどの瞬間接着剤ですね。 ここはメーカー的には外れないのでクレームにならないように仕方がない部分とも言えますね。



出来る限りきれいにします。 ここに時間がかなりかかりますが,仕上がりには全く見えませんので,調整者を信じる部分ですが,音に現れますよ。





最近のヒット作です。ナットの底面を合わせるのが難しいという人もいますが,これでどうでしょうか。

ナットの溝の底面を出したら,そこにぴったり幅の紙やすりを両面テープで貼り付けてしまうのです。


この上で,ナットを移動させてナットの底面を出すのです。 すると誰がやってもかなりの確率で底面はナット溝に密着するように出来ると思います。



こうやって上下させて底面を出すのです。



底面を出したら,わずかに角の面取りだけはしましょうね。

これでどうでしょうか。


全く隙間のないジャストフィットのナットが出来るのでした。

(≧∇≦)b OK!



1弦と6弦の中心線を決めます。



スチュマックのこのゲージは便利ですね。

E TO E が簡単に印を付けられます。

ここからがポイントです。


下のように2種類のナットやすりを使うのです。


このやすりは両刃になっていて,それぞれの弦を削ることが出来ます。

このやすりの形状がポイントです。



見えますでしょうか。

やすり自体が V字になっているのです。



サイドの面にもやすりが付いています。



これらを使って,6~3は普通のやすりで,1.2弦は両刃のやすりで溝を取ります。



タイトボンドを水で少し薄めて使います。


弦を張ったら,3フレットを押さえます。


3フレットを押さえた時の1フレットと弦との間を見ます。

この1Fと弦との隙間をぎりぎりまで持っていくのですが,この前にとうぜんですが,ロッド調整でネックをかなり真っ直ぐにしておく必要がありますよ。ごくごくわずかな順反りはありますよ。。

そして,ここの作業を繰り返してかなりゴールに近い数字に持ってきてから最終的な音の調整に入ります。



ナットの角度でもテンションは変わります。

2Fで1.5センチくらいの角度の溝はどうでしょうか。 お試しください。


そして,いよいよ最終的な部分です。

弦高がぎりぎりになったところで,後は音の調整に入ります。

音色をシビアに聞いて作業します。 意外にギターを寝せてやるとバックの振動を抑制した感じで,より正しい音を判断できるかもしれません。


今回の話の要点である,1,2弦のV字の溝です。


写真の角度で2弦しか見れませんが。



5弦は普通の溝です。


これも溝のヘッド側から少しだけテンションをあげたい場合は V字にわずかにさらりとやすりを入れて全体の音量のバランスを整えます。


これは,調整者の耳の問題かもしれません。 テンション感の違いを聞き分けられないと作業は出来ないかもしれませんね。

でも,1,2弦は V字のやすりだけを使うと接触面積を上手に調整できないので,さらに普通のやすりも使います。


そうやって,弦鳴り感と箱鳴り感をシビアに調整します。

ちょうどリバーブのMIXつまみの位置で音楽の心地よさが決まるように,この弦鳴りと箱鳴りのバランスも同じように重要な気がしています。

弾きやすさと,音色をなんとか両立させたいという願いから生まれた方法です。



このように2種類のやすりを使い分けます。


両刃の3本セットのやすりを私も販売いたします。

定価9450円税込みですが,9000円で販売します。

10本セットの通常のやすりは,定価10500円税込みですが,これも10000円にて販売します。

両方セット購入の方にはブランクナットの牛コツか何かをサービスいたしましょう。

送料はエクスパックで一律500円です。

ショップの調整に満足できずに,オタクな調整にチャレンジしたい方にはぜひお勧めです。

この音は気持ちがいいですよ。

O(≧∇≦)O イエイ!!



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