top of page

フォルヒSボディにニコアース 初期調整の違いも聞いてみる

更新日:2019年3月18日



フォルヒSボディに取り付けです。 私がフォルヒ購入者への初期調整の音の違いも聞けますよ。 コンタクト取り付け方法とMIXPROの内部設定も載せました。



フォルヒの作りが近年また良くなっていると思います。

フレットの処理,ネックの仕込み角度,塗装などなど細かい事の積み重ねが音に表れます。


弾いてみると・・・


♪ ポロローン

(≧∇≦)b OK!


いい感じなのです。



ギターは最初の一音で結構感じるか感じないかありますよね。 本来非常に高い能力があるギターでも調整がおかしかったりするとそのギターの本来の持ち味は分からないということもあると思います。


よほど経験がないと設計とか材質を見極めるほど音が分かるか?どうか。

それよりもすべてのギター弾きが分かるのはバランスが取れた音かどうかでしょうね。


そして,もっと単純に言えば,いい音と感じるかどうか。


これは初心者でも分かりますし,もしかしたらギター暦にも関係ないかもしれません。


毎回ギター教室に孫のために送り迎えしているおばあちゃんがおられます。

音楽が好きな方でいつも教室の端で聞いておられたのですが,ある日手工品ギターなどを数本弾き比べました。 コリングス,ドライゼンター,マーチンと比べて弾いてどれが一番高いギターでしょうか。というクイズを生徒さんに出したのです。


すると,それまで本を読んでいたそのおばあちゃんは抑えきれずに

「私ギターのことは分かりませんが,そのドイツのギターだと思います。」といきなり参戦してきました。


(o^<^)o クスッ


人間の能力のひとつに聴覚がありますが,これを訓練して行くのも楽しい経験なんですね。


アコギを趣味とするということのひとつはギターの違いを楽しむということもあると思います。 特にボディの違いや材質の違いを楽しむ事が出来て,いろいろ所有することも可能なのがピアノとの違いでしょうね。

ピアノはさすがに何台も並べて違いを比べるというのは一般家庭では難しいですよね。


ギターの違いを楽しむ事は趣味として成り立つ要素のひとつでしょうね。


その点フォルヒはボディバリエーションが様々,材質も様々あります。

フォルヒのドレッドもレンジが広くていいですし,OMも高音がきれいです。Gもマルチに使えますし,Sの上品なドンシャリで低音がやめられません。

さらに,スプルーストップなら高音に切れ味がありますし,それにマホだと軽くレスポンスが良くなりますし,ローズだと深みがあります。 シダートップならクラシックギターのようなやわらかさの中に深みを感じます。D23CRなどのシダーローズもいいギターですね。

S23CRCTも好きです。もちろんS23SRCTというスプルースも王道の組み合わせでいいですね。

この他にサイドバックにはメイプルも特注で取り寄せ出来ます。メイプルになるとレスポンスが上がります。

音の反応が速いのです。ミスタッチもはっきり出ます。 だから,初心者向きではないギターだと思いますが,マホガニーよりもしまりがあってローズのように重くないメイプル独自のキャラクターは弦が新しければ特にきれいですね。

弦が古くなったこともすぐに分かってしまうほどレスポンスがいいのです。 ローズは弦が古くなっても使えるという奥深さがありますね。


それで,23シリーズが新品20万以下なのですからすごいコストパフォーマンスですね。 ちなみに25シリーズという高級仕様もあります。

確かに外観も音質もグレードアップします。使っている材質がいいと思います。 こだわりたいならそれもいいと思いますが,一般には23シリーズでも十分楽しめるように思いますよ。

これが25シリーズです。ボディの貝の入り方と指板とヘッドのインレイが違いますね。



高級感がありますね。

ボディ外周のパフリングも貝になりますので,さりげないのが好きな人は23シリーズですね。 ステージで少し華やかになりたい人はこの貝のパフリングは,ライトが当たるとかなり違いますよ。

これも調整の依頼でしたが,いい音になりました。



さて,一般的にお勧めのモデルとしてS23CRCTがあります。 ソロギターを弾くと低音が欲しくなります。低音の出方で同じ人が同じ曲を弾いても表現が違って来ますから。


( ̄Λ ̄)ゞ んむっ


身長が160センチ以下でドレッドは右手がきついという人もいますが,このSボディはオシリは大きいのですが,ウエストがくびれているので,160センチ以下の身長の方でも抱えてみて気にならない人が沢山いると思います。


これがSボディ。




これがGボディ。(後ろが乱雑ですみませんです。)


Sを弾いていくとGボディが小さく感じるようになりますからすべては慣れの問題かもしれませんね。

見た目のバランスはGの方がかっこいいような気もしますが,慣れるとSのオシリが頼もしいのです。


(⌒Θ⌒)ぷぷぷっ♪


まきしんじのウクレレ漫談ではないですが,♪すぐ慣れる~みたいな世界でしょう。


この上の方のSボディに初期調整をして,ニコアースを付けます。

初期調整はどのように違いがあるのでしょうか。




いつものようにCD2で録音します。 左のグリーンランプが点いていれば内臓マイク録音です。


初期状態でも弦高はいい感じに低いですよ。

では普通に店頭に並んでいるような状態ですね。届いて来たものをそのまま弾いた音です。








どうでしょうか。

いい音ですよね。このままで使う人も沢山いると思います。

でもサドルの底面をわずかに調整します。 サドルとブリッジの密着度を上げるという感じですね。

サドルの底面をフラットにしてその回りを少し面取りするだけですが,面を見るのはネックを見るのと一緒で年季がいるかもしれませんね。


ではその音です。








何か違いを感じますか。 MP3にして感じるなら実際はもっと違いますよ。


音の芯のようなところはどうでしょうか。太さが出てきます。倍音成分が多くなりました。 美味しさのバランスはそのままで味が濃くなったような感じです。


O(≧∇≦)O イエイ!!


こうやってさらにナット側を調整したり,さらに弦高をわずかに下げたりして行きます。

普通は弦高を下げると音量が下がって音質も落ちます。 その分を微調整で少しずつですが向上させて行くと,弦高は下がったのに音質は良くなったりするわけです。

こんな道具を使っているわけです。

普通のナットやすりも場所によって2種類使い分けているのでした。

ナット溝の調整はまた別のページで紹介しますので。


ここではニコアースの取り付けを説明いたします。


フィッシュマンのスイッチジャックは日本でもヤマハトレーディングがフィッシュマンの代理店で販売していますが,高いのです。 プライスリストから見ると1個3360円です。



この下側のカバーは中の配線のハンダ付けがあるため,どこまでも回って上がっていくことは出来ませんので,一つ目のナットで締め付けて止めます。

上のナットで深さを決めて固定しますよ。


ギターは振動の塊ですので,常にゆすられているわけです。 これがネジ類を緩める力になります。

そして,いつしかカタカタというのはいやですので,出来るだけネジロック剤のようなもので止めておきたいですね。

ラジコン用のネジロック材でもいいと思いますが,木工ボンドで代用します。



ネジ頭の出し具合ですが,以前よりも引っ込んでいるように思うかもしれません。


その理由ですが,締め付けるとここから少しエンドピンジャックは締められて手前に来ます。 それでちょうど良くなるように1.5ミリから2ミリくらい引っ込んでいます。

そして,フォルヒがメーカー側でエンドピンの穴あけをしてくれますので,ほぼ垂直に空いています。


これがわずかに斜めだと片側に圧力がかかるので,塗装が割れて来たりします。 垂直が出ているなら強く締め付けてもOKですね。自己責任ですが。

塗装が弱いものとか浮きやすいものがありますので,ペグのナットもそうですが,金属のように締め付けてはイケませんね。

でも,中心部分になるこの写真のジャックがカバーよりも引っ込んでしまったら,プラグのシールドに十分接触できないのではないでしょうか。また,中できちんとTIP,RING,SLAVEが分離できるでしょうか。



モノラルケーブルならいいですが,ステレオケーブルでもこんな風にセンターが引っ込んでいてもいいのでしょうか。


それは,ノイトリックプラグを使うなら1ミリくらい引っ込んでもOKだと思います。




ノイトリックはこのプラグの最後の方に1ミリくらいの段があるのです。 これで引っ込んでいるものにも接触できたりすると思います。




このわずかな段差ですね。これでSLAVE(アース)に接触すると思うのです。




他の一般的なプラグです。これだと直接接触しない気もしますが。



エンドピンジャックはベルデンノイトリックのオリジナルケーブルを使う場合には少し引っ込み気味で取り付けてもOKということです。

これで緩みの防止になると思います。


この部分の締め付けが弱すぎると,わずか1ミリのために後からまたはずして締めなおしになる事もありますからね。 (私は良くあります。)


o(ToT)o ダー


でも強すぎればやはり塗装は時間と共に割れるかもしれませんので。


締め方ですが,この上の写真は普通のニコピンですので,左手で中から固定して外からネジで締めます。

でもニコアースのフィッシュマンのエンドピンジャックはちょっと違います。 外側に出ているジャック部分に穴があるので,そこに細いドライバーなどを入れて回転しないようにして,スパナで回して締めます。


しかしこのフィッシュマンのスイッチジャックはインチネジなのです。

それで,普通の日本の12ミリスパナだときちんと合わないのです。


それでホームセンターにあるモンキースパナの小型を見つけました。 ホーマックで安く売っていました。

大きいモンキースパナだと大変ですよ。



次は要のコンタクトの取り付けです。

これが最も重要ですね。

その前に準備するのは,ベルデン1Mステレオケーブル,MIXPRO,アレシストランスアクティブ50,モノラルケーブル,ヘッドホンです。




そして,MIXPROは中身を空けて電池を入れておきます。

このつまみが右に回っていればRING側のコンタクトの音だけになります。




今までの取り付け方法と変更しました。

この場所は誰でも間違いなく取り付けが出来ると思います。 そして,音は素晴らしいです。


ハウりません。


キーワードはブレイシングの交点です。


エックスブレイスからトーンバーといわれるものが普通は2本付いています。 そのブリッジに近い方とエックスブレイスとの交点にこの写真のように付けてみましょう。

コンタクトブレイスをギターのブレイスにくっつけるか,わずかに離すかですが,基本の原理を説明します。


ラインで音を聞いてみて硬いと思ったら,離します。低音が出すぎと思ったらくっ付けます。


この原則を当てはめれば大丈夫ですよ。


例えば,今回のようにSボディでは低音が出ますので,くっ付けてちょうど良かったりします。 そして,MIXPROの方で低音を出すように内部調整を後でします。この方がハウリングに強い音を作れるわけです。


低音側も同じです。エックスブレイスに短いトーンバーが2本つながっています。そのブリッジに近い方の外側に付けます。 先ほどの写真のように45度で付ける方法もあれば,さらにカチッと音を硬い感じにしたい場合はこういう付け方も出来ます。

どうやってもかなりの程度はうまく行きます。


シビアな耳で聞く場合にこの部分も合わせて行きます。

フォルヒのGやOMではくっ付けずに,5ミリくらいブレイスから離してちょうど良くなるかもしれません。

ギブソンなど箱が鳴るものはやはりぴたりとくっ付けても鳴りが強いかもしれません。 でも内部調整もあるので,この時点ではある程度です。



中のブリッジプレートの両端にケーブル留めを付けます。 どこでもいいんですが,裏板の厚いところの方が安心なので。



実際に取りつけたギター内部の写真です。高音側。




低音側。




このビニールタイをこのくらい準備します。 どこにでもありますよね。




エンドピンから来たケーブルを3本これでまとめてしまいます。そうすると空中で動かずどこにも触れることはありません。 サイドのライニングに沿ってケーブル留めを何個か使って這わせるのがよいという人もいると思います。



ボディサイドに2個使って,マグ用を止めました。




マグには一応ボリュームがありますので,100%にしておきます。 これはライブの際に90%くらいで音を作っておいて,リードソロの時に100%にするとか技が使えるかもしれませんね。


音を出す準備が出来たら,チューニングしてギターを繋いでヘッドホンを使って内部調整をします。

MIXつまみをセンターにしましょう。



この電池の下に上下スイッチが二つありますが,この左はマグ側の位相合わせです。

マグとコンタクトの位相を合わせます。 位相を合わせるというのは何度も書いていますが,これは実験して自分で感覚として覚えたらいいと思います。


オーディオが家にあれば,片方だけスピーカーの配線をプラスマイナス逆にしてみてください。

その音を聞いてみてください。 低音はどう聞こえるでしょうか。なんだかずれた感じがしますか。

それが位相ずれというものです。 ]


片方のスピーカーが前に出るときに片方は後ろに下がっているのです。 そうすると,片方はプラスの音,もう片方はマイナスの音を出しているので打ち消しあって音量が下がります。


低音域で特にそれがはっきりします。

位相が合っていると音量が上がります。

それで,このスイッチはマグとコンタクトを一緒に音を出しておいて,音量が上がる方を選びます。 音質はこの時点では考えません。


ニコアースの場合おそらくスイッチは下向きになると思います。


メーカーによってプラス線をどちらに繋ぐかが違いますので,マグが変わればここが変わるかもしれません。 でもここで聞くのは音質ではなく,音量のみです。音量が上がる方が必ずありますから。





次にマグの音量ですが,12時位になります。


ギターによって多少これが変動することもありますが,基本は12時~1時です。

もちろんもっと右に回せば音量が上がって行きます。 マグの音量を上げることはもちろん可能ですが,それではコンタクトとのバランスが取れなくなることと,ゲインを上げすぎた音はよりエレキ的な音になって行きますので,ここでの上げすぎは禁物です。

NEO-Dはパッシブなので,ここを右いっぱいに回すと思いますが,この上げなくていい余裕がニコアースの良さでもあります。


レアアースは特にノイズ対策のためであって音量を稼ぐためではありませんので,ここは12時~1時くらいです。




電池の下右側のつまみはRING側のつまりコンタクト側のプリアンプの周波数切り替えです。

上がHIで下がLOWです。


コンタクトがボディサイドに付くと,このスイッチをHIにしたかもしれませんが,ブレイスの交点に付けた場合はLOW(下向き)になります。

ギターからは少し硬めの音を拾っておいて,このプリアンプ側で低音を出すわけです。 実際の音はバランスよく出ますが,この対策でハウリングをかなりの程度回避できます。



横から見て,左が音量で,右が周波数です。周波数つまみは右に回せば高くなります。


切り替えでLOWを選んでいますので,音を出しながら一番右の方から左へ下げながら来るといい場所と感じるところがあると思います。


アコギの音を記憶していない人はここで判断を間違う可能性がありますが,いい音と感じる心は誰にでもありますから,何度もやってみましょう。

周波数つまみが左に回って低音が強くなると,RINGの音量が相対的に上がってしまう事になりますので,左の音量つまみはわずかに下げたりする必要があります。


この加減は言葉では説明できません。


(ToT)>゛スミマセンデス。


それにさらにマグ側の音量と合わせて,同時にいじるのです。

それでバランスがちょっと違うときは今度はコンタクトの位置も移動します。


この時点で,例えば音が硬い場合どこが原因なのかを判断できるには年季が必要ですね。

実はいじるポイントはこれだけではないのです。




これはMIXPROの一番左がボリュームですよね。小さい方は右からトレブル(高音),ベース(低音)そして,白い点が付いた物はベースのトリム(周波数)なんです。


このサイズでありながら低音側EQが固定ではなく,パラメトリックEQという可変の物になっているのです。

もしも,ハウリングがある周波数であれば,ベースつまみをやや下げてこのトリムを回せば,ぴたりそこの周波数を下げられるのです。


本来,ベースのつまみが12時の真上にあればそれはフラットのはずです。 つまりトリムを回しても何の影響もないはずなのですが・・・


MIXPROの場合は実はあるのです。


ベース12時でもおそらくいくらかベースがブーストされているのかと思います。 それで,この時点でトリムを回すと音質が微妙に変わるのです。

それで内部調整と同時に,外のトリムの位置もある程度決めるのです。

このトリムによって5弦の開放110Hz付近から6弦の開放82Hz付近そしてその下までを調整できるというかしないとだめなんです。


私はブーストなしでバランスを取っているので,このトリムを回して5弦も6弦も強調されない一番中間のあたりに持ってくるようにしています。


このようにMIXPROの内部調整というのは非常に奥が深いのですが,これがまたマニア心をくすぐるわけです。

それで,完全につまみはフラットで使える音が出るというのはテイラーESと同じコンセプトですが,音質はテイラーESを越えてテイラーESがMP3に感じるくらいリアルなサウンドが出ます。

このギターからライン直で録音してアコギらしいというのは他にはめったにないですよ。 エアーマイクをプラスしている物以外ではこのリアルさはないと思います。


完成したら混ざらないようにシールを貼りましょう。

ここまで時間をかけて間違ったら大変ですよね。



このように一部言葉で説明しきれない所までを繰り返して,音を作って最終的には次の日もしくはさらに次の日にチェックします。

全く新たな気持ちで聞いてもいい音と感じるかどうか。 やはり,あの部分は気になるかどうか。


そういうチェックを経て取り付け完了なのです。




録音してみましょう。



ミックスプロからモノラル3Mケーブルでリバーブへ。 リバーブからベルデンの特注品 フォン~ピンでCD2へ入れます。








ヘッドホンで聞いているのですが,なんと試奏なのに入り込んでしまい途中で終わる予定が間奏まで弾いてしまって我に帰ったという感じです。

オタクな人種に良く見られるいわゆるトリップという現象です。


ププッ ( ̄m ̄*)



これがアレシストランスアクティブからもこの音が出るのです。


ある種,アンプを選ぶとかというのは元の音が本来のギターの音の形から離れているからです。

だからアンプ側でいわば補正している感じになるんですね。


元の音がかなりの程度ギターの生音に近い場合はどのアンプでもエレキアンプでも,アコギを感じます。 エレキみたいとは思いません。


ここまでの調整取りつけはちょっと無理・・という気持ちも分かります。


(ノ^_^) ハイ!


耳を鍛えたい人はぜひ取り付けにチャレンジしてみてはどうでしょうか。


ニコアースの取り付け,MIXPROの内部設定などは受けられますが,スケジュール次第です。 その都度ご確認くださいね。


これまでピックアップにかけてきたものの集大成が少しありますね。 言葉で表せないところまでも使って取り付けをしているんですね。


(T_T) ウルウル


ぜひ皆さんにも味わって欲しい感動です。




※ アクティブのマグネチックとパッシブのコンタクトをブレンドして問題ありませんか?という質問がありましたが,フィッシュマンのスイッチジャックはマグの電源を切りますので,問題ありません。

bottom of page