アメリカから持ち帰った トーマス・ハンフリーデザインのギター

更新日:2019年2月22日


アメリカから持ち帰ったギターです。 アコギは素材と作りとどっちが重要なのでしょうか。 このトーマス・ハンフリーデザインのギターは面白いですよ。 気持がいい音がします。




月日が経つのは早いものですね。 危うくこの話もお蔵入りするところでした。


(ToT)>゛スミマセンデス。



アメリカから持ってきたギターは何かということで,話を引っ張ったままでしたね。



私の昔からの疑問の一つに,アコギは設計の方が重要なのか,素材の方が重要なのかというのがありました。



というのは,現代のギターメーカーも製作家も,ギター製作の技術的なものではそれほど極端に大きな違いは出せなくなっていて,素材の違いを除けば,音色が違うと思う点はほとんど,最後の調整の範囲くらいなのではないか。


そう考えると,ギターは素材の方が重要なのではないか。

と思ったりしていました。


( ̄ヘ ̄;)ウーン




確かにある金額まで行ったギターはどれも普通にいいギターです。



逆に30万円以下の値段帯のギターの場合は,ある部分では手抜きというか,もう少しこうなってほしいとか,ベストではないなという点があります。

そうすると,メーカーによる違いが結構あったりすると思います。 でも,もっと値段が高いギターの場合は好みを除けば極端に全く駄目ということの方が少ないように思います。



それならば,アディロンとハカランダとか素材の方が音色には大きな要素になるような気がしていました。



ギターは素材なのか,作りなのか はたしてどっちが重要なのか。 このことは私の中で疑問の一つとして残っていました。



すでにギター製作はある程度ドングリの背比べで大きな違いはないのでしょうか。

ほとんどのギターのスタイルは大きく違わないようになっているのではないでしょうか。

もっと根本的に違うスタイルのメリットを求めたデザインのギターはあるのでしょうか。




何と,テキサス州の田舎の方をドライブしていて,ぶらりと寄ったエレキショップで出会ってしまったのです。


田舎の趣味の店ですね。

近くのレストランでお昼を食べて,その辺を散歩するとエレキショップがあるのでした。




何の前情報もないまま,そこにあった普通のアコギは1本だけでしたので弾い見ました・・・すると。





♪ ポロローン




(; ̄Д ̄)なんじゃと?




驚きました。


音量が違うのです。アンプが入っているかの様なサウンドです。




メキシカンの店主はエレキショップらしい髪の長いおきまりの格好でこのギターがいかにすごいかを説明してくれるのですが,私は全くこのギターに関する知識がありませんでした。



見ての通りこれはガットギターですよ。



見た目はあまりに普通です。 というか素材が高級品でないことは見ればすぐにわかります。

指板もブリッジもエボニーではありませんし,ローズの木目も粗いです。



でも驚くのは,このネックジョイントです。




(」゜ロ゜)」 ナント!!


アーチトップのようではありませんか。



それに伴ってトップがかなり下がっていて,ギターの上部は薄くて,おしりは普通の厚さです。



これは?いったい?



どこが作っているのでしょうか。




「(≧ロ≦) アイヤー



C.F.Martinではありませんか!




マーチン製のガットギターでこのデザインは全く見たことがありませんでした。


よほどのマニアでなければ知らない情報でしょうか。 中古市場でもほとんど見たことがありません。



どうやら,テキサスサイズなメキシカン店主の言うことによると


「トーマス・ハンフリーデザインはすごいんだぜ。 お宅はコリアンかい」


「ノー アイム ジャパニーズ」


「ソ~リ~  アメリカではトーマス・ハンフリーは有名なんだぜ。


本物はものすごーく高いんだぜ。それのコピーでこれは2度と手に入らないくらい希少なギターだぜ。

今がチャンスだぜ。」



というような話の流れだったと思います。

(私の英会話はいつもシンプルなのです。)



でも,アメリカ流の買い物術は 

まずはその場を歩き去る!



そして相手側から 

「ヘイ メン ウェイ(ト)ウェイ(ト)」

と言わせることがネゴシエーション(交渉)の基本だと友人からレクチャーを受けていましたので,その日は帰りました。



何よりも,アメリカ旅行で最初に行った1件目の楽器屋でギターを買ってしまったら,そのあと2週間近く他の店でいいのがあっても何も買えないわけで楽しくありません。


そして,夜にネットで調べてみたのです。


トーマス・ハンフリーです。

トーマス・ハンフリーギターWEB


この芸術的なWEBからしてすごいですね。 この中の ギターズの中に マーチンとのコラボレーションがあります。

ミレニアムデザインギターの特徴が解説されていますね。



一つ目の大きな特徴は彼が特許を取得してる「エレベーション」ネックです。 このネック材の厚みならネックの起きを防止できます。


そして,アーチトップのように14F以降も指が入りますので,カッタウェイにする必要がありません。 これで演奏性がかなり向上します。



さらに,トップの角度です。 水平に動く弦と上下に動くトップの関係が平行ではないので,サドルに対しての効率が上がり音量が増加すると思います。



さらにさらに,ミレニアムデザインのブレイシングパターンはWEBのギャラリーのスタジオの中に写真があるように,ラティスブレイシング(格子)です。



通常のクラシックはファンブレイスですが,ラティスブレイスはトップが均一に鳴りますので,音色のバランスがとても自然です。 ラティスを採用する手工家が多くなっていますが,私もこのメリットはあるように思います。



要約すると,元起きがなくて,ハイフレットも弾きやすくて,音量があって,演奏者にもいい音で聞こえて,バランスがいい音がするというのです。


これらのメリットを持つ設計のギターが存在したのです。

(ノ°ο°)ノ  オオオオ



気になるお値段です。かなり高いなということはわかりました。



後で,日本に帰ってから調べてみましたら,オリジナルのトーマスギターは何と300万クラスなのです。

「(≧ロ≦) アイター・・・



ソモジ大先生クラスのお値段ですね。 日本でも売っているお店が東京にあるようですが,250万以上のようです。



しかし,マーチンとのコラボレーションのいわゆるコピーものはもっと安くて,あのイングリッシュマン・ニューヨークで有名なスティングのシグネイチャーモデルだったらしいのです。

でも上位機種はコピーと言えどもかなり高級なものだったようです。


この上の写真のものは,マーチンとトーマス・ハンフリーのコラボギターの一番下のモデルです。



もう一度このThomas Humphrey による millenniumデザインのメリットを考えてみましょう。


アコギの今のジョイント方法では,ネックが起きるという構造上の欠点があることはエッセイに書きました。


ネックがネックその1  ネックがネックその2



そして,他にもアコギには構造上の不思議があると思います。


私が最初に長いこと使っていたエレアコがアーチトップ,アーチバックだったこともあるかもしれませんが,トップが完全にフラットでない方が,音の出方がなんとなくいいような気がしていたのです。


薄いボディでも音量があり,音の広がり方がいい感じなのです。


実際にプリウォーマーチンもトップには軽いアーチが掛かっています。 それは,表板はそのままフラットですが,ブレイシングがアーチになっていて,それにトップを貼り付けて常に引っ張ったテンションをかけるという方法です。

メリルもそういう方法で作られているようです。 あの音もかなりいいですね。



それに対して,最初から厚みのある板をアーチに削って製作する方もおられます。



いずれにしてもアーチトップの方が完全なフラットトップよりも音の効率は良くなるような気がしていました。

フラットだとサドルへの弦振動の入力がなんとなくですが,効率的に悪いような気がするのですね。


横の力で,縦に動かすのかい?

( ̄~ ̄;)ウーン・・・


アコギの製造工程の能率化のためにフラットトップが生まれたのであって,音の理想のためにフラットトップになったわけではないという意見もあります。



その点,アーチトップの場合は弦と完全な平行ではなく,指板との接合の部分ではすでに指板とトップは平行ではなくなっています。

この方がいくらかですが,音が出る時の能率がいいような気がしているんです。



実はフォルヒにもこのアーチがかかっています。 それで,指板と表板のジョイントが実はピッタリではありません。

わずかに隙間があり,それはわからないように隠してあります。



つまようじでつついて,この目隠しがとれたリしても直せませんので,興味本位でつつくのは「絶対やめましょう」という話です。 取れても決してスタMに連絡したりしないでくださいよ。

くれぐれも私から聞いたなどといわないでくださいね。

(* ̄m ̄) ププッ



でも,私はそれはデメリットではなくあの音色を作るのにトップのアーチは貢献しているのではないかと思っています。 (確証はありません。気がするという話です。)

(^∧^) スミマセンです。


NYのビンテージショップで見たギブソンと同じ構造をフォルヒなどはもっと小さくやっているような感じですね。



でもどのメーカーのどのギターもこの部分の処理はかなり熟慮していると思います。 もしくはあまり考えないで,ただ引っ張られるかでしょう。



長年ギターを使っていくと,トップは時間とともにブリッジから引っ張られて,フラットなトップでもわずかなアーチを持つようになります。


そうすると,14F以降の指板は,ネックが起きていないのにトップのラウンドのために指板の跳ね上がり現象が生じ得ます。



これはネック起きとは違いますが,12Fから14Fの音がパスパスと力なくバズる点では同じ感じです。



英語の解説には,14F以降の指板が上がる状態を,タングアップ(舌べろが跳ね上がっているイメージでしょうか。)と書いてあったりします。

私は他の人に説明する際はスキージャンプと言いますとたいていわかってもらえます。


このアコギの欠点ともいえるネックジョイントを作りでカバーしたトーマスギターはすごいと思います。



さて,話をアメリカに戻しましょう。


その後ヒューストンやNYの楽器屋に行きましたが,例のトーマス・ハンフリーコピーが気になります。


そして,ついに覚悟を決めて買うことにして電話して,テキサスからNYのホテルに飛行機便で送ってもらったのです。


ヒューストンからNYまで3時間半のフライトで時差2時間です。広い国アメリカ。



そして,NYからさらに日本までの送料を尋ねると35000円を超えるということがわかったので,手荷物で持ち返ることにしました。 アメリカ国内送料もかかったので,結構いい労働プラスいい値段の買い物になってしまいましたが・・・。


じゃじゃーん。


いつものオタク部屋にあるではありませんか。




開けてみると・・・それだけだと普通の高級ではないギターです。




ラベルはこうなっています。



マーチンとの最初で最後のコラボでしょう。


多くの人にこの設計を知って弾いてもらいたいという気持ちで実現したようですね。