ギブソンL-00 1934-6 プリウォービンテージ


ついにビンテージの世界です。これは本当にすごいギターですね。 ギブソンL-00 1934山崎まさよしもレコーディングではこれを使っていますよね。

ナット形状とペグとブッシュの話も書いてみました。




いい音がするギターを弾きたいという願いは誰にもありますよね。


(ノ^_^) ハイ!



古今東西にあるギターを片っ端から弾いた人たちが,口をそろえて究極はビンテージギターと言います。 もちろん演奏家の中には,ビンテージには全く関心がないという方もいます。

この辺は演奏のプロと,アコギの音色を楽しみたいという趣味の部分との違いがあると思います。



まあ,ギターオタクのプロとも言えるアコギショップの店主が究極はビンテージというのですから,そのビンテージギターの魅力にはまるギターマニアがいることも事実なんですね。




ビンテージと言っても,70年代でもビンテージと呼ぶ人もいます。 60年代もいい音がしますが,50年代と比べるとやはり,違います。

さらに,40年代と比べるとこれまた違います。 さらに,さらに,30年代と比べると,40年代でさえ少しかすんできたりします。

( ̄ヘ ̄;)ウーン



この本の中でも一人のビンテージギターショップの店主が述べていますが,「古ければ古い方がいいでしょ」というのです。


確かに。それも一理あります。


が,ギターの仕様も年代で変わってきます。


1910~20年代まで古くなると,12Fジョイントのクラシックギター風のタイプやさらに細いタイプが多かったり,ライトゲージのテンションに耐えられずエクストラライトかコンパウンドゲージまでというギターも多くなります。

マーチンでは31年がライトゲージを使えるタイプの一番古いギターであるという話を聞いたことがあります。 (詳しい人がいたら教えてください)


そういうわけでギターの使い方が現代に近いのは,やはり,30年代かなと思ったりします。 30年代は生産本数もありますし,形状もいろいろありますし,材料もいい物が使われていますし,職人のレベルが充実していて,まさに黄金時代(ゴールデン・エラ)ということになるんでしょう。


ビンテージギターに関してはそれについての専門書があるくらいですから,本格的に取り組みたい(財産を注ぎたい)という方は本格的に勉強する必要があるでしょうね。


第2次世界大戦前のギターを一般に戦前という意味で「プリ・ウォー」と言います。 狭い意味では,38年までがプリウォーですが,実際は40年ぐらいでもプリ・ウォーと呼ぶ人もいるかもしれません。


1945年が終戦ですので,39年から45年までは「ウォー・タイム」と呼んだりします。

戦争で物資が不足していきますので,やはり,戦前のギターはそれ以後とは作りが違うような気がします。 おそらく戦争ですぐに物資が不足するというよりも,材料の在庫がありますので,年々少しずつ落ちていくという感じでしょうか。


また,戦前に一部の金持ちのための楽器だったものが戦後少しずつ大衆文化に変わって行き,ギターそのものの量産化とコストダウンが進んで行ったと思います。

プリウォーギターのトップはマーチンもギブソンもアディロンダックスプルースです。 ギブソンはサイドバックがマホガニーですが,マーチンの21や28以上はブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)が普通だったのです。

アディロンにハカランダ。

これは私も素晴らしい組み合わせの一つだと思います。


その時代に,アディロンとマホガニーの組み合わせでギブソンはマーチンに対抗するブランドとしてやっていたわけですね。


アディロンとハカに対してアディロンとマホがサウンド的に格下というのではなく,好みの違いということであったとしたらこれまたすごい話ですね。

ジャンルに関係なく私がいいなと思ったギターは,アディロン&ハカ,もしくは,アディロン&マホなんですね。 トップの素材は音色のブライトかダークかカラーに関係があるといわれています。

低音とか高音は,ボディ形状で決まる要素ですが,サウンドカラーには素材が関係してきますね。

インゲルマンスプルースとかジャーマンスプルースのトップもいいと思いましたが,アディロンのパンチというかブライトさがアコギらしいなと感じさせるんですね。

マイクなしでも遠鳴りする感じがとてもいいです。


でも,マーチンの1930年代でハカランダのギターになると値段がすごいですね。 2007年6月の時点で,1945年のOOO-28が350万円を超えます。

1937年のOOO-42をクラプトンはあのアンプラグドライブのステージで使ったのです。 クラプトンのMTVアンプラグドCDが世界で1500万枚売れた理由のひとつは,ピックアップなしのマイク録りで,生のアコギの音に迫ったことだと思います。


その後マーチン社にクラプトンが弾いていたギターは何かという問い合わせが殺到したといいます。 あの音色にひかれて,多くの人がOOO28とか42を買ったかもしれませんが,実はあの音はビンテージギターの音だったのですね。


まれに,同時期のOOO-42が出ますが,800万円位します。


こうなるとすでに楽器を越えてきている感じもありますよね。 投資対象になりつつあり,楽器ではなく,モノとして捉えられているかもしれませんね。



私はあくまでも,ギター音楽を愛するというスタンスで,本当に感動するギター音楽とは何か,演奏とギターの音色がどのようにバランスした時に感動があるのか。

そういう観点で,あくまで楽器としてとらえて追及して行った時に使える道具としてのギターを考えます。



もちろん,800万のギターを押尾奏法で叩く人もまれにいるかもしれませんが,それは特例ということにいたしましょう。

♪~( ̄ε ̄;)



30年代のギターならマーチンよりもギブソンの値段が安いです。 でも,マーチンよりも劣るのかという点ですが,私はそう思いませんでした。

30年代のギブソンのサウンドが,かなりの数試奏した中でも光っていました。

40年代のマーチンよりも私は30年代のギブソンがいいと思ったりしました。 でもこのくらいの年数になると個体差も無視できません。


単純にマーチンとギブソンとくくれないものがありますよね。



イントロが長かったですが,私がすごいと思った一本です。


ギブソンL-00 1934-6です。



1934年とすれば,昭和9年です。 73歳になります。


ワシャよーく枯れとるのじゃ。



トップはリフィニッシュなしです。指板,ブリッジはハカランダですね。 ナットが黒いのはエボニーです。

ネックの幅があり,ナットで45ミリくらいあります。右手のブリッジピンで1弦から6弦まで60ミリくらいの広さがあります。




こうなると傷などはあまり気になりません。すでに味わいのうちですね。



すでに塗装が完全に退いていて,トップと一体化しています。





ネックは三角です。この角度がとても良くて45ミリの指板ですが太さを感じさせません。 慣れるとこれが使いやすいくらいです。

ただ,クラシック風にネック裏に親指をずっとつけているスタイルの人はいまいちと感じるかもしれません。 3角ネックはグリップスタイルですね。


このくらいのビンテージギターになると,調整がかなりおかしくてもいい音が出ます。 音抜けや音量は新しいギターには絶対に出せないものがあります。


そして,深みが違います。


また,すごいのはプレーン弦の太さですね。 ソロの曲を弾くとメロディーがはっきりと聞こえます。

音楽としてより完成されるような気がします。


最初は,鳴りの良さにやられて欠点に気がつくまで時間がかかります。 でも,付き合っていくと次第に改善点が見えてきます。


ギターにはやはり,調整が必要です。 音色の良さにかまけて,調整をおろそかにしてはいけませんね。


新品の鳴らないギターを鳴らす調整技は,やはり,共通していい鳴りのギターをさらに良くすることができるはずです。

まずはおかしいと思うところです。 ナットの下に何か下敷きが入っています。



これは確実に音を詰まらせるはずです。 完全に抜けない弦があるのはこのせいでしょう。



でも,このエボニーナットの変わりがあるでしょうか。


73歳のギターに新しいエボニーを付けて合うでしょうか。

(ー'`ー;) ウーン



コネクションを利用しまして,とある昔ギター製作をしておられた方から50年物のエボニーを分けてもらうことができました。 ブリッジ用のサイズでいただきましたので,たくさんナットが作れるくらいありますよ。


枯れた,軽くなっているエボニーです。 タスクよりも削りやすいのですが,欠けやすいのが欠点です。



材料が手に入ってからようやく作業ができます。 ここまで,ページは同じですが時間にして,2か月かかっています。

ワオ w(°o°;)w




はがしてみますと,英文の入った厚めの紙が入っています。 アメリカ人のリペアマンが・・・

「ナット低くなったら,ペーパー挟んでOKだぜ。ジェイク。」

とかなんとかいいながら作業したのかもしれません。 しかも,この瞬間接着剤の量の多さがすごいです。


これでもビンテージサウンドが出るんですからすごいです。

ひたすら削ります。




下地をきっちり作るのはお化粧と一緒ですね。



ナットがつきました。



この度は弦とナットとの接触面積を大きめにとります。


ナットと弦の接触面積はいろいろな考え方がありますが,大まかに言うと,ギターの箱が鳴る場合はここを多くとって弦鳴りを強調した方が全体には太い音色になっていいと思います。


でも,箱があまり鳴らない弦鳴り感が強い中国製の新品ギターでこれをやると,気持がゲンナリします。

(ToT)>゛スンマセン


ナットの上面をあまり削りこまなくてもいいんです。

この弦溝に少し埋まっていると,弦の音は濁り気味というか削った時に比べてプレーンではないような音質が加わります。 が,ギターによってはこの音色が大切な気もします。


完全にピュアな音色を求めた方がいいギターもありますが,隠し味のような響きと言いますか。


ココアにお塩ひとつまみというか,カレーにインスタントコーヒーと言いますか,つけだれにナンプラーというか,隠し味のような響きが音色を完成させる場合もあるということですね。


ギブソンサウンドには少しこのほろ苦い感じの隠し味的なサウンドを入れたいので,削りすぎません。 溝に弦をある程度埋めます。



全面接触の音から少しずつ落して行って音色とテンションを調整していこうというのです。



上の写真の6弦側のナット上面が少し欠けているのは,溝を入れた時にわずかにやすりがぶれただけでこうなります。 乾燥したエボニーナットの調整はかなり手ごわいですね。



ナット交換した音は・・・。

♪ポロローン。

ヽ(・_・;)ノ ドッヒャー



鳴ります。



この音色の広がりはすごいです。 曇りなく音が抜けます。

低音がかなり出ますね。 このボディサイズとは思えません。


これでしばらく弾いてみますと,チューニングが今度は問題です。 ペグが固いところと,そうでないところがあります。



よく見るとすでにギヤが摩耗している部分もあります。


何といっても70年物ですから当然ですね。 チューニングできなければギターになりません。


合いにくい弦があります。

また,皆さんはブッシュの大切さを知っていますか。


弦の力はどこが支えているのでしょうか。


ブリッジピンの方はボールエンドにブリッジピンを挿していますよね。 その止め方で音が変わるくらいですよね。

では,ナットに乗った弦はその先のペグに巻いてあります。 でも引っ張られる力はどこにかかるのでしょうか。


それは,ペグのポストですね。

そのポストを支えているのがブッシュです。



ペグのポストの周りの金属のリングがブッシュです。 これがヘッドの穴にゆるゆるの場合は弦の力が分散することになります。

このブッシュのゆるみがマーチンには時々あります。

o(ToT)o ダー


それでこのブッシュをカチッとさせたいのですが,このL-00はハトメ(鳩目)というタイプのシンプルなもので,簡単に裏から押すととれてしまいます。

( ̄ヘ ̄;)ウーン


交換しかありません。


ギブソンの最近のリイシューものと同じ3連ペグを入手しました。


同じサイズに入ります。 ネジ穴だけがちょっと位置が違っていますが,私はコレクターではないので,新しく穴をあけてもかまわない人です。


でも,よーく見ますと外観の点で少し難ありです。


というのはヘッドも枯れたビンテージテイストなのに,ペグがピカピカ,ブッシュもピカピカ,ボタンは真っ白なんです。



合わせてみても,ボディの枯れ具合にペグの新しさが何か溶け合いません。

(ー'`ー;) ウーン



音が大切な私ですが,外観的なものも大切にしたい所もあります。 せっかくビンテージなんですから,ちぐはぐはどうでしょうか。



それで,探しましたら エイジド加工 というものがあります。



新品なのに最初から古めかしくしてあるのです。


わざわざ古くして,値段が倍くらい高いというまさにオタクのためのグッズとしか言いようがありません。

が,これを買ってしまうんですね。

(* ̄m ̄) ププッ



これを真剣に作っているアメリカ人はやはりすごいですね。 全く生活必需品ではないものにここまで情熱をかけるのかという話です。


「マイケル,もう少しボタンは黄ばんだ方がいいかな」

「金属部分は錆びる寸前に仕上げるのがクールだなジェイク。」