グレーベンのギターはやはりすごいです。 でも,調整しての話です。製作家と調整家と演奏家の3者が大切ですね。 劇的ビフォアーアフターをご覧下さい。
押尾コータローがグレーベンを長年愛用しているのは有名な話ですね。
岡崎倫典もそうです。
私が初めて中川イサトライブを見た時,イサトさんもグレーベンのJでした。
アコギショップの中でも,キング オブ こだわり ショップと思われるの神戸のヒロコーポレーション店主は「一生モノのアコギを探す」の中で,グレーベンをソモギと並んでリスペクトしています。
この中のQ&Aを見ればどれくらいのこだわりかわかりますよ。
しかーし,グレーベンを買ってそのままのオリジナル状態で本当にグレーベンの音がするのでしょうか。
(  ̄- ̄)フムフム
実は,生徒さんの中にグレーベンにその昔直接オーダーした方がいます。
諸事情により,オーダーしてから月日がかなり経ってようやく昨年グレーベンを手にする事が出来ました。
到着したグレーベンを一緒に弾いてみます。
♪ ジャララーン
(; ̄Д ̄)なんじゃと?
これが本当に皆が良いというグレーベンなのか?
なんだか音にしまりがなく,レンジも狭く,バランスが狂っているような・・・・。
でも,良く聞くと箱鳴り感はすごいんです。
ギターとして,何か可能性を秘めている感じはあるんです。
ナットの仕上げとかはかなり粗いなと思わせるものです。
いろんなショップの中古にグレーベンが出ると,仕上げの粗さがあるという風に評価されていたりします。
仕上げが粗くても音がしっかりしていればいいんですが・・・。
( ̄~ ̄;)ウーン・・・可能性は感じますが・・・
「これは調整に出しましょうよ。」
ということで,バナナムーンに行くことになりました。
その模様はこちらです。
リペアファイルの504番をご覧下さい。
フレットのあたりで,バナナムーンのコメントではリペアが入っているという感じで書かれています。
サドルも斜めで,音がしっかり伝わるはずがありませんよね。
でも,このギターは正真正銘ジョン・グレーベンから直接取引きしたものなんです。
「(≧ロ≦) アイター・・・
ココで押さえておきたいのは,製作家の考え方ですね。
製作家が相手のスタイルを知って,出来れば目の前で実際に弾いてもらって弦高を決めるなど最終調整をして売る事が出来れば理想ですよね。
でも,相手とやり取り出来ずに出荷するという場合や誰がどう使うかわからない場合は,ナット,サドルは高くして出して,買った人が誰かに削ってもらう方が安上がりですよね。
最初から弦高を低くすれば,高い物をユーザーが希望する場合に販売店が交換代を持たなければなりません。
そうすると,弦高は高い方が安く済みます。
また,逆にマニアになれば,自分の好きにナットとサドルの素材などは選択して,結局自分の好みに調整するでしょうから,私は音が出る最低限にしておきますので,好きな調整家に出してくださいというのも一つの方向性ですよね。
押尾コータローもギターの調整を任せている人がいると言いますよね。
だから,出荷時点では音が出るだけにしておきますので,すぐに調整してもらってくださいという考えの製作家もいるかもしれません。
余談ですが,マニアが車を買えば最初にタイヤとホイールを換えます。
新品なのにもったいないと思いますが,マニアとはそういうものです。
それなら最初から中途半端にいいタイヤを履いていない方が親切というものですね。ちょっと似ていますね。
それで,ギター音楽の完成には,1製作家 2調整家 3演奏家 の3者が必要なのではないでしょうか。
この2の調整家の必要性が一般にはあまり認識されていないということだと思います。
さて,調整から戻って来たグレーベンを弾かせてもらいます。
トーチスのピックガードも質感がすばらしいです。トーチスの開発にはグレーベンがかんでいるんですよね。
カッコいいギターです。
ホワイトレディが入っています。 カスタムオーダーならではですね。
バナナムーン製作の牛骨サドルです。
ナットの角度も,艶もすごいんです。
いよいよ音です。
♪ (6弦を) ズーン
(ノ_・、) ポロリ
感動して涙が出ます。
深いんです。 音が。
6弦の鳴りに感動します。
高音までストレスが全くありません。
すべての弦のハーモニーが調和しています。
少しソロの曲を弾いてみます。
♪ ポロローン
音楽に入ってしまいます。
感覚的な話になりますが・・・。
モンゴルのような広い草原にいます。
そらは青空で真っ白な雲が浮かんで,柔らかい日差しがさしています。
そこに音符がぷかぷかと浮かんでいるようなそういう気持ちになりました。
倍音のすごさに圧倒されます。
本当に音符が浮かんでいるんです。
(o;TωT)o"ビクッ そういえばレッスン中でした。
ついついトリップしていました。
いいギターを弾くとそうなってしまいます。
レモンハートのマスターがいい酒を飲むと涙がポロリと1滴こぼれるのに近いでしょうか。
(わかりにくい例えですよね。マンガの話で恐縮です。)
(ToT)>゛スミマセンデス。
グレーベンというギターのよさも最初の状態では,はっきりとはわかりません。
かなりのギター通ならポテンシャルを感じるかも知れません。
調整の経験がある人はこれは懐が深いぞと思うかもしれませんが,最初の音なら普通の人はきっとフォルヒの方がいい音だと思ってしまいます。
可能性がかなりありそうだぞ,すごそうだぞまではわかりますが,最初の状態で感動はしませんね。
調整後のギターは正直,最初と同じギターとは思えません。
完全に化けたという感じです。
バナナムーンの調整はやはりスゴイです。
もしも,自分の自慢の一本という物を調整したいのであればいろいろ迷わず,値段もお任せでそれなりにかかったとしても,結局は究極の調整に出すのが最短コースかも知れませんよ。
幾つかのショップを回っても満足できなくて,最後にバナナムーンに行く可能性もあります。
それ位,レベルの高い仕事をしていると思います。
値段がかかっているというのはそこまでの仕事をしているということですね。
かなりのリペアマンにナット下のボンドの話をしても,少し取るようにしていますくらいで,ボンドを完全に取る大切さは感じていないようです。それはやはり,リペアマンだからでしょう。
ギターチューナー(調整家)ではないということですね。
リペアとしてはいい仕事をしているのでしょうね。
でも,ココは大切な点ですが,人間は音のバランスを聞き分けられるようになっています。
何と比べていいのかを説明するのは難しいのですが,今聞いている音がバランスが取れているのかどうかは多くの人が感じる部分です。
もちろん経験地も重要ですね。
いい音色を聞き続ければ,誰でも感じるようになると思います。
でも,自分で調整する人は間違いなくこのすごさがわかりますが,調整しない人は「うーん。いい音」位にしか思わないかもしれません。
でも,本当に美味しい物を食べると人は「美味しい!」としか言えませんから,それも正しいんですよね。
(ノ^_^) ハイ!
それなりにいいギターを手にしたら,ふさわしい調整をしてもらう必要がありますね。
手工品ギターでも「仕上げはあなたがどうぞ」というスタンスのものもあると私は思いますよ。
もしも,買ってそのまま使っているならあなたのギターの本来の音はまだ隠されているのかも知れませんよ。
よい調整がなされたギターを普段から弾いていることは,あなたの演奏レベルの向上にも確実に影響しますよ。
(・_☆) キラーン
製作家 と 調整家
後は演奏家の腕だけですね。
(ノ^_^) ハイ! 練習しよー。
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