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ナット溝調整でテンションも音色も変化できます

更新日:2019年3月13日


テンションも音色もナットの溝だけで変わります。 (」゜ロ゜)」 ナント!!本当かどうかごらんください。アストリアスでやってみました。



2010/7/20 現在の理解はこの時とは違っております。 でもナット溝の取り方でテンションも音色も変わるというのは本当です。 やり方と道具はすでに違いますよ。過去の進歩の過程を知る物としてご覧くださいね。



自分のギターの音に満足できない場合や,何か不満があるとどうしても,「Martinは音色が甘いよね」とか「このメーカーはテンションが高いよね」とかギターのせいにしたくなるかも知れませんが,ちょっとお待ちください。


(( ^_^)^^ ) なになに?


実は調整の問題もあるんです。 特にナットの溝は音色に大きな関係があります。しかもテンションも変えられるのです。


実際に私に調整依頼が来たオベーションなどの例ですが,「デザイン優先で買ったギターだけど,テンションが高くて弾きにくいので何とかしてくれ~」というものでした。

それで,調整して持ち主に返すと・・・・。

ウオー  w(°o°;)w

「これは弾きやすい何時間弾いても指が痛くない!すばらしい!」と言います。


オベーションの惑星が付いた限定ものですが,何をいじるかというと,1Fの弦高は全く変えません。変えたものはナットの溝のヘッド側を少し落としただけです。そして,12Fの1,2弦がアンバランスに高すぎたので,0.5ミリサドルの上面を落としました。

そして,弦を変えて音色を調整しただけです。


それだけです。


ホエッ?(・◇・;;)


そうです。テンションも音色も実はナットにヒミツがあったのです。今まであまり他には書いていないと思われる渾身のレポートですが,自分も調整の分野は発展途上ですので,現時点で分かったことです。


将来もっと理解が進んで見解が変わるかもしれませんが,その時は  (ToT)>゛ごめんしてけれー。(秋田弁です。)


では最初に理論から勝手に考えてみました。 これに関する文献などは何も見た事がありません。

バナナムーンの松本師匠からいろいろ教えてもらった事が基本にありますが,理論などは全く私の勝手で考えたものですので全く違うかもしれませんし,真実に近いかもしれませんよ。


初めにナットの溝をペグに対してどう切るかというのが一つの問題です。

意外にプロのリペアマンでもナット溝を緩く切ってナットに弦が全面接触になるようにする人がいます。



このナット溝の色が黒くなっている部分が接触面積になります。(この写真の例ではナットの幅の半分以下くらいでしょうか)

緩く溝を切るとは下の絵を参照してください。

というわけです。指板側の部分は削りませんので,弦高に変化はありません。


違いは,1音色 2テンションです。


音色は全面接触だと張りがあるので,パンというアタックがあり箱が鳴るような気がします。また,音量もわずかに大きくなるような気がします。しかし,音質的にはこもりぎみになります。それが,接触面積を減らしていくと弦の輪郭の高音がはっきりと出て,抜けがよくなります。音質的には深いものになります。


テンションは確実に緩くなります。 弦振動を見ると目で見て違いが分かります。


全面接触の方がタイトに振動しています。振幅の幅が大きくなり,音の伸びも違います。


でも,接触面積を減らしすぎると逆効果で弦振動を伝える力が少なくなりすぎます。加減が必要です。


どのメーカーも多くのスタイルに対応するためにはナットは高めにすると思います。低いものを高くするのは交換しかありませんので,メーカーの初期状態は未調整と考えるのが正しいでしょう。

おそらく,ルシアーものも最初から仕上げているというのは稀で,ナットとサドルは未調整と考えるべきでしょう。

でも,弦高を下げると弦は当然ナットに埋まって行きます。


こっこっこれは問題です。いいギターの多くはナットから巻線が半分はみ出るくらいになっています。


コリングスのこの写真をごらんください。ナットにご注目ください。



でも,ナットに弦が埋まるとどうしてイマイチなのでしょうか。


それも考えてみました。

サドル側は弦がサドルに点で接触するようになっています。 理想はナット側もほぼ点に近い状態にしたいわけです。

そのために,ナット溝のヘッド側を落とすのですが,溝に弦が埋まってしまうとナットの幅およそ5ミリで,その部分の動きは上下はいいとしても,左右の動きが制限されると思うのです。

ナットの5ミリ幅に弦が埋まっているので,弦が接触していない部分は削り落として巻き線(4-6弦)の上半分がはみ出るようにするのがいいと思います。

この辺はあくまでも想像の世界です。


ラジャ!( ̄- ̄)ゞ



ヘッド側にも斜めにナット上面を削りこんでいくと音質はあきらかに抜けが良くなり艶が出て,本来のそのギターの音質が出てくると思います。

でも,すべてが明らかになっていくので,合板ギターでこれをやっていくと次第に合板臭さがはっきりする可能性もあります。


あいまいであった方が良かったのにということもないわけではありません。

でも,素質のいい単板ギターは確実にいい音になります。


このナットの上面削りはそれほど難しくありませんが,ナットの溝切りは簡単ではありません。

最初弦高をある程度出します。その時ナット溝は全面接触のように緩めに切っておきます。

そして,徐々にナットの溝をヘッド側から落として行き音質のバランスを6弦にわたってとるという作業はまさに芸術の世界です。


ヽ(・_・;)ノ ドッヒャー


6弦で高音を出しすぎると全部を同じ音色に出来なくなる可能性もありますので,少しづつやるのがいいですよ。

では,その実際の作業レポートです。 音も聞けますよ。



生徒さんのギターの依頼です。弦が溝に埋まっていましたので,上面を最初にある程度削ります。

1Fの弦高があまりに高い弦もありましたので,最初に弦高もある程度調整します。



5弦も接触面積が多すぎますので,5弦と6弦のナット溝のヘッド側だけを一緒に削ります。これで4弦,3弦との音質の違いを感じる事が出来れば成功ですね。


ちょっと見にくいですね。 5,6弦の接触面積は1ミリから1.5ミリ以下になっていると思います。


ではその音を聞いてみましょう。





どうでしょうか。5,6弦と4,3弦の音質的な違いを感じる事が出来るでしょうか。(MP3だからちょっとね。)


いい音が出ると調子に乗ってしまいます。

(・_☆) キラーン


全部の弦をしてみます。 ヘッド側の溝を弦がナットからゆるーく離れるように溝の黒い部分をみながら落としていくのです。



この音の差は特にプレーン弦で大きいのです。


その音も聞いてみましょう。最初の音と調整後の音です。






2弦の音がメロディーとして前に出てくるか,引っ込んでしまうか位違いますので,私は大きな違いと感じますが,皆様はいかがでしょうか。


最後に全体の音を聞いてみましょう。

最初のギターの音と,最終調整後の音です。MP3でどこまで違いがわかるでしょうか。高音とか輪郭はMP3では分かりにくいですよね。 でも,ナット側の弦高は下げましたので,音量はいくらか下がるはずです。


1Fの6弦は0.75くらいありましたが,0.55くらいまで下がっています。1弦は0.35くらいになっています。 他の弦も同様に下がっています。






どうでしょうか。弦の輪郭や深み,高音の余韻までついて来ます。特にプレーン弦はやりすぎるとだめですね。この限界を知るまでがちょっと練習が必要ですね。


弦高が高い状態で何度も練習するとか。隣に溝を切ってみるとか。いろいろやりました。

o(T□T)o


でも,この音の変化,弾きやすさの変化を目の当たりにした生徒さんの表情を見てみましょう。


満足が一番です。

(ノ^_^) ハイ!


テンションは緩く出来ます。

輪郭をはっきりと音質もシャリーンと出せます。


ナット調整はなんと奥が深いのでしょう。 これが楽しい人は完全にギターオタクですね。


ププッ ( ̄m ̄*)



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