LA旅行記とTaylor Guitars訪問 2016! ギター業界のリーディングカンパニー 規模,質,方向性がすごい。 これは一種の改革かもしれませんね。
ブレイシングの違いを説明してくれました。
最近はギターの命はブレイシングの設計にあると思っているので,ツアーガイドに誰がテイラーのブレイシングを決定出来るのか聞きました。
答えは興味深いものです。
ボブ・テイラーとアンディ・パワーズ2人だけなのです。
まさにブレイシングの設計が音を決めてそれが会社の方向性つまり発展まで左右する重要性があると理解しているギターメーカーなのです。(と私は勝手に解釈しています。)
多くのギター工場はギターを作れますが,自分の音を作るという意識まで持っているメーカーは少ないです。
私がこれまで訪問した多くのギター工場はギターの作り方の技術に重点がありました。
ギターの丈夫さが・・・振動が・・・塗装が・・・と技術に重きがある気がしました。
さらに中国では多くのユーザーは音がわからないのだから売り方がもっと重要と言い切るところもありました。
(ノ_<。)うっうっうっ
でもギターの存在価値はいい音にあるべきだと思います。
このブレイシングを突き詰めて,マーチン,ギブソン,テイラーを超えたギターを作るメーカーやギタービルダーはどれくらいおられるでしょうか。
ラリヴィーヒストリーの中にブレイシングの話があります。複雑な変則チューニングでは圧倒的にラリヴィーを始めとするカナダ系ギターの濁りのないサウンドがいいですね。
でもGコードとかを中心に弾くとアメリカンギターの音はより分かりやすく,きれいに聞こえますね。
昔のインブリッジエレアコはどんなギターもピックアップを通せば大体同じプリプリの音が出て来ましたが,ピックアップの性能が上がり,スカイソニックのようにギターの音がそのまま出せるようになると,どのギターでも同じ音が出るという事はなくて,むしろギターの持つバランスの違いが,ハーモニーの美しさがそのまま大きな音量で出てきてしまうのです。
そうなると,ギターの生音の音量が大きいとかそういう事よりバランスが最も大事なのです。
低音から高音というレンジの広さもそうですが,ハーモニーが溶け合っていて美しいか? 6つの弦の音がぶつかって音が打ち消しあっているか? これらの違いはブレイシングと大きな関係があります。
ギターを作るのか? 音を創るのか?
誰にも似ていない美しいハーモニーを創り出したテイラーはこのレベルに達しているメーカーだと思います。
加えて,ギターの安定性,合理性がすごいです。
ネックリセットも1時間でOK。ネックが万が一折れたり,ねじれたら修理せずに新しいネックをまた買えるのです。
この後説明しますが,さらにテイラーがすごいメンテナンスを始めたのです。
また工場へ戻ります。
サイドの板を曲げるのは職人が一人で小さな丸い筒型のアイロンで曲げると結構時間がかかる作業になります。
このサイドの曲げをテイラーはアッという間にやってしまうのです。
しかも2つ一緒に。
アッという間に触れないくらいホカホカの測板が2つ出てきます。
この能率の良さはかなりすごいですね。
普通の工房や小さいメーカーは全くこの能率にはかなわない気がします。 ここで浮いた時間をもっと別の部分に充てていくとギターの品質がどんどん向上しそうですね。
このベンディングマシーンはテイラー独自のものなのです。
機会を一生懸命手作りで開発して半自動でギターを作る。
なんとも不思議なハンドメイドですね。
自動ベンディング,自動塗装,自動バフがけ,ネックのNCマシーンなどなどを考えるとこれはハンドメイドギターと言えるのか?
それとも半手工ギター,半自動製作?
それでもやはり手工の部分は残されているですね。
たまには壊れるギターもあるのでしょう。
「日本から来たのですが,記念に端材をもらってもいいですか?」
ソーリー NONO 持っていくと税関で引っかかる人がいるので面倒が増えるんだ。
ソーリーということでした。
工場内の空気は驚くほどキレイです。
塗装も完全に密閉されているので空気は全く違います。
出たーピナクル。窓からギターを入れるだけです。
勝手にきれいなサンバーストが出来上がってきて塗装は非常に薄く,塗料の節約はとても良く,文句は言わず,ご飯は食べず,朝から晩まで働けるのですから,すごい事です。
別ルートからの情報ですが,1台6000万円くらいとか。規模が違いますね。
プライド持ってやっている事が表情から感じられます。
「ネックは全部俺がOK出してんだよ。だからいい音出るんだよ。兄ちゃん。」
と言っているかどうか全く想像の世界であります。
(ToT)>゛スミマセン
最後に試奏コーナーで様々なボディタイプのテイラーを弾き比べ出来ますが,何かそういう気持ちにならなかったですね。 いい音なのが分かっていたので。
記念撮影です。受付からすべての社員がテイラーで働くことにプライドがある感じがします。 近所に住んでるから働いているというギター工場もありますので,社員のモチベーションの差は大きいですね。
記念にテイラーTシャツを買ってきました。
そして,ここでもらったテイラーの新たなメンテナンスサービスがまたすごいのです。
まるでトヨタの車検か何かを思わせます。
リフレッシュコース 11000円
ギターの湿度を適正にして,指板の清掃とオイル,ペグのゆるみ,ロッド調整,電池交換,エリクサー弦交換,全体クリーニング。
確かにここまでやれば反りがおかしかったりして本来の音が出ない時に音がリフレッシュされますね。
リバイブコース 23000円
その名の通り元に戻すコースですね。
リフレッシュにプラスして,ネックアングル調整(ネックリセット),フレットの処理,必要ならタスクのナットサドル交換。
ネックリセットとナットサドル交換がこの値段でできるギターはテイラーだけでしょう。
電池も弦も変えてもらえて,すべての調整がされてこの値段はすご過ぎる。
プロギタリストとしてギターに安定性を求めるならこのメンテナンスは意味が大きいですね。
この点ではマーチンもギブソンもかなわないボルトジョイントが持つメリットですね。
リニューコース 1-10フレット交換 37000円 フレット全交換48500円
リバイブに加えてですので,ネックアングルとフレット交換,ナットサドルを交換しても,5万以下。
電気系統もチェックしますよ。
ますますすごい。
テイラーのES1はかなり進歩しています。初期の2003年のものとは別物ですね。
初期のは低音も少しカットされた感じで,全体にマグネチックの音が強かった感じがします。
34000円で最新のES1へアップグレードできるというのです。
LAの楽器店でチェックしましたが,これは結構使えると思いました。
マグマイクだけでは出せないコンタクトの音がいい味を出していました。
ES1 インストールコース 57000円
ノンピックアップのテイラーにES1を後付けで載せるというのです。
これはすごい。実はテイラーES1はあとから買えるものだったのか。
ピックアップが古いものでもなんとかなるし,何ならネックそのものも買えるし,まさに工業製品としてのギターの究極にあるギターと言えましょう。
でも,誤解しないでいただきたい点があります。
音が悪い高級ギターを世界中の多くの人が選ぶことはないということですね。特に中国でのテイラーの人気は絶大ですね。つまりテイラーは音の良さと弾きやすさで選ばれていると言えます。
中国には偽物がありますので,選ぶ際に人は真剣に比べます。ブランド名で安心して買うのではなく,真剣に音を比べてテイラーを選ぶのです。
テイラーの200番台トップ単板でもGSMINIでもやはりテイラーのバランスの良い音がします。
ギターは車よりももっと芸術品,工芸品に近いものだと思います。いい音を感じ取れる人が作り,いい音を感じる感性を持つ人が選ぶものだと思います。
工業技術と芸術の融合。どの時代にもなかった新しいギターの在り方を示すテイラーギターズ素晴らしいとしか言いようがありません。
生音だけで勝負するとマーチンの甘い音色がいいと感じるのですが,ピックアップを通して音を拡大して演奏する時にマーチンが甘すぎると感じることも時にはあります。
でもテイラーはクリアーでいて木の響きの暖かみがあるのですね。
テイラーにスカイソニックだとライン向きのいい音が出ます。
ぼんやりですが,テイラーと競争する事は不可能だと思いました。
ので,全く反対に向かってみてもいいかと思います。完全手作りギター。
コンピューター制御の機械を一切使わない人の感覚で全工程を作られたギター。
これが何か手作りの工芸品だけが持つ存在感があるように思います。
これはまたいつか発表できる日が来ると思います。
ラジャ!( ̄- ̄)ゞ
最後にLA旅行の参考にどうぞ。
タイタニックではなくクィーンメリー号です。今はホテルです。
船内も雰囲気がありますね。1935年ごろにすでに船での海外旅行を楽しむ上流社会があったのですね。 意外にこのホテルが高くありません。
雰囲気があります。
LA観光はハリウッドやビバリーヒルズが定番でしょう。
お土産物屋さんもハリウッドの雰囲気がありますね。
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