最近のTaylorネックアングル調整 その1

Taylorのネックアングル調整(ネックリセット)を自分でやってみました。

最近のTaylor代理店のアングル調整の値段が上がってしまったのです。 ネックアングルが直るといい音になりますよ。



ギターの音色とネックのアングルが関係が大きいということはこれまでのエッセイなどで書いてきました。

ギターのネックアングルが少しでも狂うとナットの位置が大きく変わってきます。 当然音も違ってきますね。

本来の設計されたギターの音からどんどん離れていくわけです。

(T_T) ウルウル


それで,一般のメーカー製でこの問題を見事にクリアし全米ナンバーワンギターになったTaylorは,100年間続いたギブソンとマーチンの2大体制を崩して,ついにアメリカンドリームを成し遂げたとも言えます。

Taylorはただ宣伝が上手だったからではなく,ギターとはどうあるべきかを研究し続けた結果でもあると私は思います。


特にTaylorのネックがメンテナンスしやすいというのは画期的な事ですね。


これまでのレポートにも書いたように,ボンドは使っていなくてボルト3本ですぐにネックがはずせて,ネックアングル調整用に入っているシム板の交換だけでネックリセットが完了するというのです。

マーチンだとネックリセットが高いところで12万円しかも,納期が3ヶ月から6ヶ月などと言われるとプロが仕事の道具として使うにはかなり厳しい状況ですよね。

しかも,人気の工房は1年待ちですという話もあったりしますので。

「(≧ロ≦) アイヤー

それで,TaylorのNT(Newテクノロジー)ネックに期待して以前にエッセイのコーナーでレポートしました。

TaylorのNTネックのエッセイ


ヤマハがTaylorの代理店だった時代はネックアングルの調整が何と5000円だったのです。 これは非常に良心的というか儲けというよりカスタマーサービスの世界だったと思います。

ところが,代理店は変わり昔ギブソンを扱っていた山野楽器さんになりました。

山野楽器 Taylor NTネックのページ


リペアは楽器店を通してくださいということなので,島村楽器からネックアングル調整の見積もりを依頼して,ギターを送り見ていただきました。

そしたら・・・値上がりです。

タスクのナットとサドルも一緒に交換しての調整ですが,26000円くらいかかるというのです

「(≧ロ≦) アイター・・・

以前のヤマハの時代は良かった。


1~2週間という納期の早さはさすがTaylorなのですが,値段が昔ほど魅力的ではなくなってしまいました。

でもダブテイルの一般のネックリセットが8万もかかる事を考えれば,安い事は安いですね。

でも5分でばらせるNTネックなのに・・・26000円もかかるのか?という思いがないわけではありません。

ちょっと自分でやってみるか・・・

99年のNTになった頃の314です。 NTでは最も時間が経っていることになります。



普通は6弦が2.5ミリであれば良しとするでしょうね。



カポを9Fに付けて20Fを小指で押さえて14Fを叩きます。 (撮影のために片方の手が使えないので9Fにカポしてますが,いつもはここを左手で押さえますよ。)


ここがツッツくらいならOKですが,カチカチというと少し起きている可能性があります。

でも,ネックが起きていなくてもトップの方が膨らんで指板の14F以降が相対的にタングアップになっている場合もカチカチ言うので,カチカチだから起きていると断言出来ません。

ひとつの目安ですね。

長い定規で指板の流れをブリッジの位置まで確認しないと正確にはわからないこともありますよね。



でも普通はここの部分では,ほぼくっついて欲しいのです。

そうしないと各弦のテンションバランスが狂って特に1,2弦のメロディーが引っ込んで聞こえます。 こうなると伴奏用としてはまだいいのですが,ソロギターとしてはかなり苦しいギターですね。


(T_T) ウルウル


ここが多少狂ってもいい音と思えるのはギブソンくらいでしょうか。

普通はおかしい音になります。 マーチンは特におかしい感じで,音がこもったような前に抜けていかない音になりますね。



ボンドなしで,すぐに外せるというTaylorのNTネックを自分ではずしてみます。

ボルトジョイントの封印にシールが一枚あります。 これをドライヤーで暖めてノリをゆるくしてからゆっくりはがしましょう。



ピンポイントで暖められるようなドライヤーが良いですね。


でもバックに貼ってある紙もはがれるのは困りますので,保護しておきましょう。

クロスをかぶせておけばOKです。



きれいにはがれました。



ボルトが見えてきます。


トップの指板裏にひとつ,ネック側に2つのボルトでネックがつながっているのです。 でもこのボルトはインチなのです。


このインチの計算というのが非常に面倒ですね。

1インチは25.4ミリというだけは最初に記憶しましょう。

にこよん。ですね。




指板側の6角レンチもインチです。

5ミリのレンチは入りません。

4ミリだとスカスカで回りません。

3/16インチというサイズがあります。

3/16=0.1875

0.1875×25.4ミリ=4.7625

4.76ミリというサイズの六角レンチを使います。

Taylorの最初に付いてくるエンドピンをはずす時もこの3/16ですね。



簡単に外れます。



2本のジョイントのボルトは 7/16 インチですね。

7/16=0.4375

0.4375×25.4=11.1125 ミリです。

こうなると12ミリのソケットだとすべり気味になります。 11ミリのソケットがあっても入りません。

なんとも国際的にひとつの基準でやって欲しいですね。

そのためにこのセットのように右と左に両方のサイズが必要なのです。 全く無駄なことだと思いません?




2本を緩めてまわしてみました。


w(°o°)w おおっ!!

ネックが簡単に外れるではありませんか。


TaylorのNTネックはこの上面に一枚シム板があります。


ネック側にもシム板があります。



これを削ったらTaylorの保障対象外になるようです。

山野楽器でもこの板は売ってくれません。


でも原理とすれば,ネックリセットはネックヒールの下に向かって削るわけです。

それで,ネックの仕込み角度を演奏者に向かって倒れるように下がるようにするわけです。

このシム板の下側を少し薄く削ったら解決のような気がしますが,保障外になると困る事もあるかも知れませんし・・・・

( ̄~ ̄;)ウーン・・・


ベストではありませんが,紙を挟むというのをやってみます。

以前にヤマハのスモールギターですが,ネックをはずしてテレホンカードなどを挟んでアングル調整をした事がありました。 何かをはさむよりもアングルが正しく調整される方が音は良くなると理解していますので,やってみます。


シム板と同じサイズの0.3ミリの厚紙を用意して,それを0ミリへ向かって削ってテーパーにするのです。



上手にはさんでみます。



ぱっと見はわかりませんよね。



ではネックを戻してみます。

整いました!

(* ̄m ̄) ププッ



さすがTaylorの工作精度です。

ネックを外して戻した事が全くわかりません。 これが木工製品なのかというくらいすごいですね。


プラモデルの方がもっといい加減です。

弦を張って弦高を見てみましょう

どうでしょうか。

2.2か2.3くらいでしょうか。

最初の2.5~2.6くらいの弦高からぐっとさがりました。


O(≧∇≦)O イエイ!!



ネックアングルが正常に戻りましたので,音が前に出て行く抜けのいい音になるのです。 それでいてテンション感はさらに軽く感じます。

ところが難しいというかオタクな問題が生じます。


何とボルトを締める強さで音が変わるのです。


良いと思えるか,だめと思えるかくらい大きく違います。

「(≧ロ≦) アイヤー   (中国人は本当にそう言いますよ)



この締め加減が微妙で,下のボルトと上のボルトの強さを変えても音が変わってくるのです。

少し弾いてみてはボルトの締め具合を変えます。 これを続けているとあっという間に時間が流れてしまいます。

(T_T) ウルウル


でもここでわかるのは非常に興味深い事実なのです。

強くぎりぎりと締め付けるとネックとボディがタイトにつながって音が良くなりそうですが,必ずしもそうではないのです。 締め付けすぎるとタイトすぎていい音に感じられないのです。

限界まで締めるよりも,その少し手前の時に,ボディが最も効率良く鳴る場所があるように思います。



このベストの場所を探すのはもはや新しい趣味として楽しめるくらい面白いです。

それはオタクだからでしょ。

♪~( ̄ε ̄;)



ボルトジョイントの締め加減を楽しむという新しい趣味はいかがでしょうか。

(* ̄m ̄) ププッ


その昔,あるリペアマンの方から,「マーチンはネックジョイントにわずかに余裕を持たせている。ヘッドウェイはわざとカツカツに余裕なく作っている。」という話を聞いたことがありました。

その時私は「わざとゆるくジョイントするもんかね。ジョイントの技術不足だろう。」と思っていましたが,このボルトの締め加減で音が変わる事実からすればジョイントの強度も設計のひとつかもしれません。


丈夫で長持ちするギターを作るよりもいい音のギターを作るという信念のもとに作られるギターがあると思います。 日本製は前者が多く,欧米物は後者が多いかもしれませんね。


このネックアングルを正常にした上で,初めてナットサドルの調整という話になります。 このように本来の音を引き出されたTaylorはどんな音がするのでしょうか。

10年のトップの経年でさらに乾いたいい音になっているはずです。 これから,ロッドを調整して,サドルの弦高を合わせて,ナットで音色とテンション間を調整し,最後にボルトの締め加減の微調整をすると・・・


♪ ジャラララーン

(ノ_<。)うっうっうっ


いい音です。

素直な音がします。

そして弾きやすいです。 Taylorはテンションがある方だと思います。


でも調整がうまく行けばそれを感じないだけではなく,ロングスケールのきりりとした輪郭が心地よく感じるくらいです。

だからネック起き気味のTaylorはプレーン弦が痛くて苦しいギターだったりしますよね。


それがこの調整で無くなりました。


ネック起きがなくてもTaylorはテンション感がある方だと思います。 だからこそ弦高を下げられるメリットでもあると思います。

そのままだと少しきついギターですよね。


丸山ももたろうさんも同じような事を書いていました。

丸山ももたろうさんのギタールーム Taylor814


でもこの調整により弾きやすさもOKです。

1時間弾いても痛くないか。 これが私の基準ですが,このギターはOKです。

さらに,このようにリペアがしやすい方が,丈夫なギターよりも長く使えるギターだったりして。

(o⌒.⌒o) ウムウム


とは言っても誰もが自分でネックを外してアングルを調整して音の調整まで出来るわけではないですよね。

(ノ^_^) ハイ!


普通の弦高合わせのリペアに26000円出すのがいいか。

どうせ26000円出すのならもっと音色を追求した物に出来ないでしょうか。

もっと皆さんにもいい音を体験してもらう方法を考えてみました。

(・_☆) キラーン


最近のTaylorのネックアングル調整 その2へ続く

ブランドサイト