個人の好みを超えてギターの音を判断する要素
1 倍音が入っているか
2 揺れが入っているか
3 音量
4 バランス
5 ハーモニーの美しさ
6 遠達性
7 レスポンス
8 特別な個性
上海のミュージック・チャイナに毎年参加しSKYSONICブースのPAをするようになって,この遠達性を考えるようになりました。
ギタリスト #谷本光 はトップ単板の方がオール単板よりもライブの時の音が良いというのです。一般的にはオール単板のギターの方が音が良いので,それに良いピックアップをつけてライブをすればいい音が作れると考えると思います。
しかし,そう簡単にはいかないのです。例えばD45にピックアップをつけてライブをすればいつも最高の音が出るかと言えば,ライブのサウンドとして最高になるとは言えないのです。
ある状況下では,エレアコが圧倒的に有利なのです。Maton,Cole Clark,Takamine,などなど生音を少し犠牲にしてラインアウトで良い音を作るメーカーの方がライブの音は良い場合が多いのです。
その理由の一つが遠達性と関係があります。
弦振動は弦の質量(重さ)と弾いた力で決まっています。それを後はどのように分散させるかという問題になってきます。サイドもバックも鳴るように作るギターと,トップがもっと多く鳴るように作るギターとでは,遠達性が変わるのです。
具体的に言うと,全く同じギターでサイドバックが多く鳴るように作った場合とトップがさらに強く鳴るように作ったギターがあります。弾いている人はボディ全体が鳴る方が気持ちが良いのですが,iPhoneで録画すると離れた一点で音を収録する事になります。その場合にはトップが良く鳴るギターの方が良い音に録音されるのです。音の線が太くはっきりと聞こえます。
サイド・ポートのあるギターも同じ原理で本来サウンド・ホールから出るべき空気がギタリスト側に漏れるので,弾いている人は気持ちが良く音に包まれるように感じる効果があります。でも,実際は前に出る音の量が減少しますので,遠達性という点では少し犠牲になると言えます。
これは簡単に実験できます。エンドピンを付けたり外したりしても僅かなサイズの穴でも音質に変化が生じます。ライブをしないので,エンドピンの穴あけなしに拘る人がいるのも理解出来ます。Ayersは基本12mmの穴が空いていて,ウッドピンが差し込まれていますので,いつでもピックアップの取り付けが簡単に出来ます。特に倍音を発生するギターの場合はこの差が音に出ます。
これらを考えてエレアコをトップ単板,サイドバック合板として音をトップに集中させてそこにピックアップをつけて,太い音をアウトプットするという考え方は理解出来ます。サイドバックが合板で鳴りすぎないのもステージ上では有利に働くと思います。
またラフに扱って多少ぶつけても単板のように簡単に割れないというのもプロギタリストにとってはメリットと言えると思います。
なので,エレアコとしてギターを作る方法と生音を楽しむために作るギターとは最初から方向性が少し違うと思うのです。
そういうエレアコとして作ったギターがこちらです。これもOTS搭載で倍音豊かに響きます。ライブでアコギを感じさせるためにエレアコを使い,自宅で趣味で弾くのは生ギターというのは良い方法だと思います。
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